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農機具屋が教える「コンバインの売り方のコツ」

農機具屋が教える「コンバインの売り方のコツ」

目次

農機具共通の査定基準がベースだが、コンバインならではもある。

コンバインの査定は、全国の農機具販売店が基準にしている「中古農機具査定書」に従って行われていおり、その時点での平均的な相場も加味されます。判断の目安は、年式がわかる“型式 ” 、チカラを示す“馬力 ” 、そして、アワーメーターに表示される“使用時間”が基本。 他の農機具とベースは同じです。ただ、 “刈り条数” などコンバインならではの特徴があったりするので要注意。今回はそんなことを中心に、“コンバインの売り方のコツ” を説明したと思います。

“馬力”と“型式”は他の農機具と同じだが、“使用時間”は要注意。

“馬力”と年式を示す“型式”で査定価格が変わってくるのは他の農機具と同じです。当然ながら、馬力は高い方がいいし、型式は新しいものが評価が良くなります。しかし、使用時間を示すアワーメーターの数字には注意が必要です。なぜでしょう? 答えは、使用時間と使用年数の比例が、トラクターなどと違うからです。コンバインを使うのは刈取り時期のほんの一時期。おそらく15haぐらいの農家で使うのは年間で100時間ぐらいでしょう。それに比べてトラクターは季節にあまり左右されないので400時間ほどは使うはず。となると、4年経つとトラクターのアワーメーターは1600時間を示すのに、コンバインは400時間です。10年間使ってもまだ1000時間。なので、査定側はコンバインの使用時間の基準をかなり低くするでしょう。売却するなら500時間以内が無難です

査定価格は“刈り条数 ” が多いほど高くなるが、地域差も。

コンバインには2条刈りから7条刈りまでありますが、刈取り条数に比例して馬力も高くなり、査定価格も連動します。ただ、地方によって使用しているコンバインの刈り条数が違うので、おそらく査定価格に多少の地域差が出るはずです。コンバインの条数別構成比をみると、北海道が2条刈りと3条刈りは1%にも満たない数字。4条刈りが21%、5条刈り以上が78%になっています。米どころの新潟を含む北陸は、2条刈りが30%で3条刈りが37%、4条刈りが21%、5条刈り以上が11%です。需要と供給の関係で相場価格が変わるはず。それに従って北海道は4条刈り以上が、北陸だと2・3・4条刈りが評価が高くなる可能性が大です。3・4条刈りは 全国的に普及していて、人気が高いので期待がもてるでしょう。

グレンタンク式が優位だが、袋取りタイプの需要もある。

むかしは脱穀した穀物を袋に流し、いっぱいになった袋を交換していく“袋取り式 ” のコンバインも多くありました。しかし、いまやグレンタンクという大容量の容器に貯めて、後でコンテナなどに排出するタイプが主流です。でも、袋取り式の需要はあるにはあります。かなり軟弱な湿田ではタンクの中身と機械の重さでコンバインが立ち往生する可能性がある。だから、袋取り式にせざるを得ない場合もあるからです。もちろん価格差も。収量の少ない農家が高価なグレンタンク式にすると元が取れないので袋取り式にするケースです。とはいっても、査定価格は、グレンタンク式が圧倒的に優位。ではあるけれど、袋取り式も需要はないわけではないので、あきらめることはないでしょう。

機能は多いに越したことはないが、地域差も考えたい。

傾くと自動的に水平を維持する“自動水平制御機能”。刈り取る高さを自動で任意の高さに保つ“刈り高さ自動制御機能”など機能は多くあった方が評価は高いでしょう。作業効率が良くなるわけですから。ただ、機能は最新のものでなくても、アナログ的な機能でも地域によっては需要が多い場合もあります。好例なのが、排ワラの結束機です。刈り取ったワラの処理法は3通り。そのまま排出するか結束するか。それとも、細かく切断して農地にばら撒くか。大規模米農家が多い地域ではワラは不要なので切断して敷き詰めるタイプが多いはずです。一方、野菜や果実などを米と同時に生産している地方などにとってワラは貴重な副産物。敷きワラや堆肥など利用価値は大いにあります。なので、束ねて保管して後利用できる結束機の付いたコンバインが好まれる。このように、地域の需要に合った機能によっても相場価格は変わります。

まとめ

使用時間が少なくても評価は低い場合もある。
コンバインの査定基準は、他の農機具とそんなには変わりません。“馬力が高いかどうか”、“型式が新しいか”が基本です。ただ、“何時間 使用しているか”、アワーメーターの数字は年間を通して使われているトラクターと違う見方をされます。コンバインの稼働率はとても低いので、年季が入っているのに使用時間は短い。なので、使用時間は少なくても評価が低くなる場合があります。


基本的に刈取り条数は多いほうが有利になる。
刈取り条数は多くなれば馬力も高くなる。評価も比例して上がりますが、地域によって需要が異なるので多少の差が出る可能性もあります。たとえば、北海道では4・5条刈り以上は歓迎されるが、2・3条刈りの需要はまったくない。地域によって需要と供給の関係が変わることを考えておきましょう。


袋取りタイプよりもグレンタンク式が優位。
グレンタンク式と袋取り式を比べれば、グレンタンク式が圧倒的に評価が高いけれど、袋取り式の需要もなきにしもあらず。小規模農家などに重宝がられているので、売却をあきらめることはありません。


機能はいろいろ付いていたほうが評価は良い。
“自動水平制御”など最新のデジタル機能を備えていればいるほど評価は高くなりますが、アナログな機能も捨てたものじゃない。排ワラの“結束機”などは欠かせない地域もあったりするので、付いていれば有利に働くこともあるはずです。

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