コンバインの刈り取り部が壊れた!修理について農機具屋が解説します!
コンバインは稲作農家にとって、なくてはならない農機具です。
コンバインがなければ、人手を使って、鎌かバインダーで稲刈りして天日干し(はさがけ)した後にハーベスターで脱穀しなければなりません。
これは想像以上に大変な作業です。
コンバインがあるだけで、実に10人力以上の仕事をこなしてくれるので、あるとないのとでは大違いです。
コンバインは、数ある農機具の中でも、刈り取り部という複雑な機構を備えています。そのため、刈り取り部が壊れることがあるのですが、壊れたらどう修理すればいいのでしょうか。また、刈り取り部でよくあるトラブルについても、知っておきたいものです。ここではコンバインの点検方法や、刈り取り部の修理方法について解説しましょう。
コンバインの刈り取り部分でよくあるトラブル
刈り取り部はコンバインの中でも可動部分が多いため、点検を怠ると故障しやすい部分でもあります。そのため、コンバインが必要になる稲刈り時期の前に、必ず点検しておく必要があります。刈り取り部の動きが悪くなると、稲の刈り残しが増えるといった、トラブルが起きるので注意しましょう。
シーズン終了後の点検も重要
コンバインの点検は、稲刈り前だけでなく、稲刈りシーズンが終わったあとも必要です。稲刈りが終わったら、コンバインを水洗いし、輪転部分にグリースを塗り、刈刃にオイルを塗るようにしましょう。刈刃にオイルを塗らないと錆びてしまうので、翌年稲刈りをする際に切れ味が悪くなります。
また、コンバイン内部に籾が残らないようにすることも大切です。籾が残っていると、それを食べようとネズミが侵入するので、配線をかじられて思わぬ故障の原因になることがあります。コンバイン内部に籾が残っていたら、エアコンプレッサーや掃除機で吸い取っておきましょう。
コンバインの点検で事故防止
最近の農家は後継者不足のため、高齢者が農業を行うケースが増えています。高齢者が農機具を使うと、細かい部分に目が行き届かないため、どうしても整備不良のまま使ってしまうことになりがちです。コンバインのように、可動部の多い農機具を整備しないで使うと、いろんなトラブルが発生しやすくなります。コンバインのトラブルは、大きな事故につながる可能性は少ないのですが、できるだけトラブルを防ぐためにも、定期的なメンテナンスを怠らないようにしたいものです。
コンバインの刈り取り部の点検方法
コンバインの刈り取り部で、一番重要なのは刈刃です。刈刃が研いでなかったり、刃が欠けていたりするとうまく稲が刈れなくなります。また、刈刃の隙間が大きかったり、摩耗していると切れ味が悪くなるので、しっかり点検しましょう。
できれば稲刈り前と稲刈り後に、刃の状態を見て異常がないか確かめることが重要です。刈刃の点検をする際は、エンジンを切って厚手の手袋をはめて行いましょう。素手で刃先に触れると、怪我をするおそれがあります。怪我をすると農作業が中断するだけでなく、傷口に泥が入ると破傷風になる危険もあるので注意が必要です。
刈り取り部の修理方法
刈り取り部を修理するには、刈り取り部を脱着しなければなりません。まず、エンジンをかけて、機体を上昇させてから作業を行いましょう。こうすれば、分離も修理後の取り付けも容易にできます。
上昇させたら、エンジンを切ってください。エンジンをかけたまま刈り取り部に触るのは危険なので、必ずエンジンを切りましょう。刈り取り部に防塵カバーがあれば、外したほうが作業がやりやすくなります。
次に、刈り取り部のデバイダの下に、長い角材を入れて水平に持ち上げましょう。このとき、脱穀部のこぎ深さチェーンを一番下にして、浅こぎにしておくとあとの作業が楽になります。
次に、刈り取り部の配線コネクタと廃油管を外してください。それから、油圧ジャッキで機体を持ち上げて作業しやすくしましょう。ジャッキで持ち上げたら、刈り取り部を支えている軸受けのボルトを外して、刈り取り部を分離します。
そのために、左右の固定ボルトを外しますが、いきなり片方だけ外さないで、右を少し緩めたら今度は左を緩めるように、左右交互に緩めたほうが無理なく外せます。このとき、ついでに刈り取りベルトも外しておきましょう。
刈り取りベルトは、エンジンの動力を刈り取り部に伝えるベルトです。運転席にある自動刈り取りレバーが入っていると、ベルトが張って外せなくなるのでレバーを切ってから行います。
次に、エンジンをかけてゆっくりバックで動かしましょう。こうすれば、刈り取り部が外れていきます。少しバックしたら、一旦エンジンを停めて全体を見回して、何か引っかかったり障害物がないか確かめましょう。問題がなければ、再度エンジンをかけてさらにバックして、刈り取り部を完全に分離させます。
必要な修理を行う
刈り取り部を分離させたら、刈刃をチェックして交換が必要なら交換します。通常、刈刃は予備を用意してあることも多いので、刃が欠けていたり摩耗していたり研ぐ必要があれば、予備の刃と交換しましょう。予備の刃がなければ、刃が欠けていたり研ぐ必要があれば、研いでから再び装着します。
コンバインの刈刃は、それほど鋭いものではありませんが、素手で扱う場合は、できるだけ刃の部分に触らないように注意しましょう。刃を研ぐのは通常グラインダーなどで行うので、グラインダーがある場所の近くで、刈り取り部の分離作業を行うとスムーズに進められます。
刈り取り部を装着する
刃を研いだり別の刃と交換するなど、必要な処置が終わったら、今度は刈り取り部を装着します。エンジンをかけてゆっくり前進し、刈り取り部の支軸と軸受けの位置を合わせてさらに前に進みます。左右の支軸と軸受けが、どちらもピッタリでないと装着できないので、何度かやり直しながら進めましょう。
左右の支軸と軸受けがはまらないと装着はできないので、あわてず慎重に行ってください。また、左右の支軸と軸受けをうまくはめるためには、できるだけ平坦な場所で作業を行うことが大切です。左右どちらかの軸受けに支軸が入ったら、固定ボルトを入れて軽く固定しましょう。
ただし、まだきつくボルトを締めてはいけません。片方のボルトが固定できれば、あとはそれほど難しくないので、もう片方も軸受けに支軸をはめたら、今度は両方の固定ボルトをしっかり締めましょう。
2人で行うと楽にできる
ここまでの一連の作業は1人でもできますが、2人で行うとさらにスムーズに進められます。特に支軸と軸受けをはめる作業は、1人よりも2人のほうが簡単にできるので、なるべく2人で行うようにしましょう。また、コンバインを分解して装着する作業は危険を伴うので、万が一怪我をした際も、2人いれば応急処置をするなどの措置が取れます。
まとめ
コンバインは農機具の中では可動部が多いため、故障する可能性が高くなります。特に刈り取り部は複雑な機構になっているので、点検を怠るとトラブルを起こしやすい部分でもあります。刈り取り部は、コンバインが必要になる稲刈り時期の前と、稲刈り後に必ず点検しておきましょう。刈り取り部の整備は、コンバインを分解して行うことになりますが、1人で行うより2人のほうが効率がよく、危険もありません。
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