新型コロナの影響による農業の人手不足に農林水産省が補助、就農支援
農林水産省が、新型コロナウイルス感染拡大の影響による農業の人手不足を解消するため、観光業を含む多様な人材の援農、就農を支援することになりました。
2020年度補正予算案で「農業労働力確保緊急支援事業」に46億4600万円を計上。人手不足の産地への交通費、宿泊費を一部負担するほか、労賃が通常より割高となった場合は上乗せ分を時給で500円を上限に補助する内容が盛り込まれています。
また、民間の人材派遣サービスを活用したマッチングや情報発信の経費についても、半額まで負担することも発表されました。
労働力確保に国が動き出した
日本の農業分野は例年、人材育成の目的で外国人技能実習生を受け入れています。収穫時など繁忙期には貴重な戦力になります。
しかし、新型コロナに伴う渡航制限でベトナムや中国を中心に2000人近くの来日見込みが立っていません。そんな背景を踏まえ、需要急減による雇い止めが発生しているホテルや旅館、飲食業などを想定し、援農、就農を国が支援することを決めました。
農水省の担当者は、「繁忙期を控え、例年のような労働力確保が難しくなることが予想される。感染拡大を防ぐための移動制限中ですぐには難しい面もあるが、農業における人手不足の解消と農業生産の維持のために支援したい」と話しています。
既にマッチングに乗り出した地域も
国の施策に先立ち、すでに協同組合などで観光人材を活用しようという具体的な動きも地方から出ています。
長野県のJA佐久浅間(佐久浅間農業労働組合)も、高原野菜などの農繁期を前に人材不足に直面しているエリアのひとつ。今春は外国人技能実習生94名の受け入れを予定していましたが、来日のめどが立っていません。
周辺には軽井沢町をはじめ観光地が点在しているため、地元のホテル・旅館組合と連携し、観光人材と農業とのマッチングに乗り出しました。
すでに30名強の人材を確保していますが、ゴールデンウイーク(GW)明けにも始まる出荷のピークに向けて、さらに人材確保を強化していきたい意向をにじませています。