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第1回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」ファイナリスト&チャンピオン決定!

2019年11月7日~8日に行われた​「東京サステナブルシーフード・シンポジウム(TSSS)2019」。さらに今年は、日本のサステナブルシーフード・ムーブメントの活性化に貢献した活動を表彰する​第1回「ジャパン・サステナブルシーフード・ チャンピオン・アワード」​も初開催されました。

サステナブル・シーフード(持続可能な水産物)の普及や日本の水産業の持続可能性に貢献した人、組織、プロジェクトを讃える第1回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」のファイナリストが選出されました。

その取り組みを個人、一組織・団体で行った「イニシアチブ」部門、複数で行った「コラボレーション」部門より構成。各部門のチャンピオンは「東京サステナブルシーフード・シンポジウム2019」会期中(11月7日)に発表、副賞としてパタゴニアのオーガニック食品「パタゴニアプロビジョンズ」の詰め合わせが授与されました。

目次

チャンピオン決定!サステナブルな日本の水産業をつくる3プロジェクト

第1回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」のチャンピオンが、11月7日に開催された「東京サステナブルシーフード・シンポジウム2019」で発表されました。

シーフードレガシーの花岡和佳男代表はアワードの設立趣旨を「日本でサステナブル・シーフードの新しい取り組みが次々と始まっている。それらの取り組みを一層強化、活性化すること」と説明しました。

また​、​授賞式のプレゼンターには、日本の水産業におけるサステナビリティの重要性を長年にわたり訴え広めてきた、豊洲マグロ仲卸「鈴与」3代目店主の生田與克氏をお迎えしました。生田氏は今回のようなアワードを開催することが夢だったと語り、喜びをにじませました。

アワードの受賞により、後続する取り組みが増え、日本の水産業がより持続可能になっていくことが期待されます。

<イニシアチブ部門>

■『日本初社員食堂へのサステナブル・シーフードの継続導入』拡大推進プロジェクト ~社員食堂から、消費行動を変革し、SDGs達成に貢献~

パナソニック株式会社 ブランドコミュニケーション本部 CSR・社会文化部
水産資源の状況やサステナブル・シーフードの認知向上のため、2018年に日本で初めてサステナブル・シーフードを社員食堂に導入しました。現在20拠点で月1回提供し、2020年には国内全拠点に広げられる予定です。e-Learningを活用した社内教育だけでなく講演等を通じて他企業にも導入を勧めています。

サステナブルシーフードを使ったパナソニックの社食

受賞理由:業界の先駆けであった点、また給食サービス業界にCoC認証取得の流れを作ったイニシアティブである点が高く評価されました。大企業がかかえる従業員というバイイングパワーをうまく活用した取り組みであり、同様に漁業とは関係ない他の企業へノウハウを伝授するなど、活動の広がりも評価のポイントとなりました。今後提供頻度が上がり、社食にサステナブルシーフードを使うことが期待されます。

<コラボレーション部門>

■「インドネシア・スラウェシ島 エビ養殖業改善プロジェクト(AIP)」

日本生活協同組合連合会、WWFジャパン、PT.Bogtama Marinusa、WWFインドネシア
「生態系・生物多様性の保全」と「持続可能な地域住民の生計確立と水産物の生産・消費」を目標に2018年7月から3年間、ASC(水産養殖管理協議会)の基準に基づいてブラックタイガーの養殖業を持続可能にしていくプロジェクトです。マングローブの再生、水質調査などの手順書の作成や研修などを行なっています。​(写真:WWFインドネシア提供)

インドネシア・スラウェシ島でエビ養殖をしている現地の人

受賞理由:養殖現場、環境NPO、流通企業が手を取り合い、消費者のサポートを得て作り上げた包括的なプロジェクトである点が高く評価されました。地域の環境・経済的サステナビリティ、日本の消費者への啓発と寄付金を通じた巻き込み、サプライチェーンの最上流から消費者までをつなげサステナビリティに配慮した食のサプライチェーン構築のお手本となる活動と言えます。

■日本初の次世代トレーサビリティーシステム構築プロジェクト

海光物産株式会社、株式会社大傳丸、有限会社中仙丸、株式会社ライトハウス
漁業者が操業中に合間を縫って手で記録している、資源管理に必要な漁獲データを効率よく収集するためのプラットフォームを開発しています。魚探やソナー、船上での作業状況等のデータをリアルタイムに収集、可視化するプラットフォームに漁獲記録機能を加え、2020年春を目指して開発を進めています。

男性4名が並んでいる写真

受賞理由:​漁業の現場に根ざしたシステムづくりにより水産物のトレーサビリティの実現と漁業の透明性の向上、さらには今後の日本の水産業にとって必須である漁獲証明と資源調査に貢献する取り組みである点が高く評価されました。技術的にも金銭的にも確立の難しいトレーサビリティを志ある漁業者と先端ITのコラボレーションで解決を目指している点、そして導入者も増えインパクトも現れつつある点に今後の広がりにも期待がもてます。

その他のファイナリスト

<イニシアチブ部門>

■『江戸前』を『EDOMAE』へ

海光物産株式会社(株式会社大傳丸・有限会社中仙丸)
東京2020で自社ブランド『江戸前船橋瞬〆すずき』を提供したいという思いから日本で初めて漁業改善プロジェクト(FIP)に取り組んでいます。MSC認証を取得し、江戸時代から日本の文化を作り社会を支えてきた「江戸前」を、世界に通用する「EDOMAE」として広めることを目標としています。

■きじま「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」

株式会社キシマ
海の抱える課題に対して包括的にアプローチするため、和食レストランでは初めてMSC/ASC認証の水産物を導入しました。そのほかにも合成洗剤の撤廃や有機/自然栽培農産物とFSC認証の森林資源の利用など多岐にわたって取り組んでいます。現在はお弁当の包材の脱プラスチック化を進めています。

■未利用魚はホントは美味しい魚と言わせたい!プロジェクト

四十八漁場(よんぱちぎょじょう)(株式会社エー・ピーカンパニー)
「居酒屋から漁業を創造する」を理念に、漁業・魚食文化・海洋資源それぞれの持続可能性を追求しながら、産地・漁師と直結し鮮魚を提供する居酒屋です。人気のある魚が極端に消費されるような“偏り”を均すためドンコなどの未利用魚や低利用魚を積極的に活用、これまでに2.6万人分提供しています。

<コラボレーション部門>

■社員食堂における日本初のBAP認証水産物の導入および社員への周知活動

株式会社日立製作所、西洋フード・コンパスグループ株式会社
日立製作所の池袋事業所の社食で、SDGs達成と「海を守る」ための社会貢献活動として、2018年11月から日本で初めてBAP認証を取得した水産物を使ったメニューの導入を開始しました。サステナブル・シーフードについての認知度向上のため社員向けの教育素材の開発や社外視察も受け入れています。

■「Tカードみんなのソーシャルプロジェクト」五島の魚プロジェクト

株式会社Tポイント・ジャパン、長崎県五島市、株式会社浜口水産、株式会社津々浦々、森枝幹(シェフ)、T会員12名
都市圏に流通させにくい未利用魚を使った商品を利害関係の相反するステークホルダーと開発し、継続した「六次産業化」の成立に取り組んでいます。一般消費者やメディアとも連携してイベントやSNSを通じてサステナブルな漁業に関する問題提起と解決策としての未利用魚の魅力・活用を提案しています。

各プロジェクトの詳細は公式サイトをご覧ください。

参加者約1,000人、スピーカー100人が考えた水産業の未来

アジア最大級のサステナブル・シーフードに特化したシンポジウム​「東京サステナブルシーフード・シンポジウム(TSSS)2019」は、2日間で述べおよそ1,000人、スピーカーは100人と沢山の方に参加、登壇されました。

TSSS2019の大盛況の会場内。

近年、海洋資源の減少や海洋プラスチック問題が世界的な課題になる中、豊な魚食文化や海洋生態系を未来に残すべく、水産資源を持続可能に生産・消費する「サステナブル・シーフード」の活動を知り、広げていくための象徴となるイベントです。
行政、企業、NGO、研究機関など国内外で第一線で活躍するスピーカーから学ぶだけでなく、参加者同士で交流しムーブメントを作るための場として今年で5回目の開催を迎えました。

今年のテーマは​「いよいよ近づく2020年、持続可能な魚から考えるSDGs・ESG経営」。
ビジネスと海洋環境のサステナビリティを両立させるための具体的なヒントを、大きく3つのテーマに分けて考察、議論されました。

  1. サプライチェーンに潜む人権侵害やIUU(違法・無報告・無規制)漁業などのリスクから日本の水産業や水産市場を守る
  2. サステナブル・シーフードをSDGsやESG経営と結びつけて企業の新たな価値とする
  3. テクノロジーや認証が漁業、養殖業を持続可能な方向へシフトする原動力となっている

さらにこれらのサステナブル・シーフードについての取り組みは企業にとってSDGs・ESG経営を進める柱の1つになり、ESG投資家も注目、評価し始めている国際的な潮流も紹介されました。

また、今年は​生産現場にも焦点を当てられました​。実際に持続可能な漁業、養殖業に向けて取り組みを進めている生産者がセッションでのプレゼンだけでなく試食会を開催し、生産者とサプライチェーンを繋げる機会にもなりました。また、今後ニーズが増加する地球のタンパク源を満たすとして重要視されている養殖水産物の持続可能性についても議論されました。

セッション以外にも、サステナブル・シーフードの魅力をお伝えするため、ランチやレセプションにもサステナブル・シーフードを使った各種メニューを協賛企業各社が提供しました。

シンポジウム当日にランチとして提供されたMSC、ASC認証つき水産物を使ったお弁当

ランチとして提供されたMSC、ASC認証つき水産物を使ったお弁当

レセプションで提供されたお料理

このシンポジウム主催者の一人である花岡代表は
「年々規模が拡大し、サステナブルシーフードに特化したイベントとして日本最大・アジア最大級に成長したTSSS。より本質的かつ未来志向で具体的な議論が繰り広げられるようになり、サステナブル・シーフードの国内主流化を可視化するイベントになりました。多様なステークホルダーのイニシアチブが紡ぎ合い大きなムーブメントになってきていることを嬉しく思います。」
とコメントしました。

各セッションの詳細については年末よりブログで公開されます。
公式サイトではプログラムやスピーカー、アワードについてご確認いただけます。

まとめ

サステナブル(持続可能)という言葉がメディアで頻繁に取り上げられるようになった今年、第一回「ジャパン・サステナブルシーフード・アワード」が開催されました。
自分たちの世代だけでなく次の世代やそれ以降にいたるまで、誰しもが継続的に食べられる水産物を目指し、取り組んでいる団体や企業が実にたくさん存在していることがわかりました。普段なにげなく口にしている水産物も、サステナブルなものが今後ますます増えることを切に願います。

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