農業を始めたい人必見!スマート農業が農業の衰退に歯止めをかける?
日本の農業は今、人手不足などの深刻な問題に直面しており、そしてそれは日本の未来に暗い影を落としています。(日本の農業の現状とは?)
しかしそう言われる中で、ある新しい農業の形の台頭が、日本の農業の未来に明るい兆しを見せています。
そう、その新しい農業の形こそが「スマート農業」です。
農業に携わったことのある方々なら一度は耳にしたことがありますよね。
しかしスマート農業って一体何のことなのでしょう?
いざ聞かれてみると詳しく答えることができない人もいるかと思います。
この記事ではスマート農業の基礎的な知識、そしてメリットやデメリットなどを紹介していきます。
スマート農業とは
ロボット技術や情報通信技術(ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業のこと
参照:農林水産省, 2019
なんだか難しそうですが、AIやロボット、IoTなどといったテクノロジーが、農業が抱える問題を解決してくれるような農業の形のことを指しています。
様々なITの形が農業の複雑な作業をまんべんなくカバーしてくれることで、農業や農業従事者が抱える問題を解決してくれるようになります。
そもそもなぜスマート農業という言葉をよく聞くようになった?
農林水産省が平成28年に出した「スマート農業の実現に向けた取組と今後の展開方向について^1」というレポートの中では、以下の三つのことが現在の日本の農業の課題として挙げられています。
- 担い手の減少・高齢化に伴う労働力不足
- 人手に頼る作業や口頭では伝えにくい技術が必要な作業が多いため、新規就農するにはハードルが高い
- 飽和化している市場において、広い視野を持った革新的な取り組みが必要であり、既存の企業や団体だけではその現状を打破することが難しくなっている
さらにレポートの中では、スマート農業が日本の農業にもたらす利益として、人手不足の解消や新たなビジネスの創出・品質が保証された農産物の生産を可能にすることをあげ、スマート農業の必要性を主張しています。実際全国各地でスマート農業を取り入れている団体や農家さんの数は着実に増えており、農業業界は徐々に活気を帯始めています。
スマート農業のメリット・デメリットとは?
上に述べたように、今現在日本の農業が抱えている課題に対して解決策を提供してくれるのがスマート農業の特長であり、導入するにあたって得ることのできるメリットです。実際にどんなシステムがあるのか、いくつか例を紹介します。
労働力人口の不足に対する解決策
GPS自動走行システム等の導入によって農業機械の夜間飛行・複数走行・自動走行が可能となり、それらが人手不足を解消する一つの手がかりとなることがあります。また、作業効率も抜群に上がり、時間を有効に使うことが可能です。
言語化しづらい農業のノウハウをデータ化
農業機械のアシスト装置なども発明されており、そこでは作業ノウハウなどのデータも蓄積することができるため、経験の浅い方でも作業に取り掛かりやすい仕組みが出来上がってきています。
この仕組みは若手や新規就農者が農業に対してハードルを感じることが少なくなり、それによって人手不足やそれに伴う農家の負担などが大幅に解消されることにも期待ができます。
では反対に、スマート農業を導入するにあたって考えうるデメリットは何でしょうか?
導入する際に費用が嵩む
いわゆるイニシャルコストと呼ばれる初期費用が導入する際にかかります。なのでそのテクノロジーを導入することでどんなメリットがあるのか、費用に対してそれ以上の効果を見込むことができるのか、熟考した上で導入する必要があります。
使い方に関する教育にかかる金銭的・時間的費用
導入した後はそれを運用する必要があります。その場合、使い方を覚えることや活用するのに手間取り、結果、作業時間がさらに長くなってしまう可能性があります。その分教育費用などはかさんでしまうので導入することに消極的になってしまう方々も多いと思います。
セキュリティ面
クラウドの利用など、ネット上で情報を集め、蓄積することはときにセキュリティ面で重大な問題を引き起こす可能性があります。データの管理はしっかりと行うことが大前提です。
政府の支援は受けられるの?導入する際のサポートは?
政府の支援
農業従事者やIT関連のメーカー、自治体の農政部局などが集う協議会を自治体単位で設置し、その協議会が実用化段階にあるIoT, AI, そしてロボットなどの先端技術を既存の営農体系に組み込み、新たな営農体系を検証していくことで実践を目指し、現在農業が抱えていく問題を解決する役割を担います。これに対し、政府は各都道府県に定額を支給し、各都道府県はそのお金を協議会に支給します。
民間企業の支援
株式会社オプティムという会社では、スマート農業プロフェッショナルサービスを導入しています。こちらは株式会社オプティムが、農業従事者がスマート農業を導入する際に生じうる問題などに対して、スマート農業向けハード・ソフトウェアを提供することでワンストップで支援するサービスとなっています。
事例
実際に農地ではどのようにスマート農業が活用されているのかを紹介します。
クラウドシステム導入によるハウス環境の遠隔監視
こちらは奈良県の柿生産組合の事例です。ハウス内の環境、特に室温などをセンサーで読み取り、それをパソコンやスマートフォンから監視できるようになっています。
そうする事で逐一室内の状況を確認する手間が省け、作業の効率化が図れるのと、さらには蓄積・分析したデータをもとに品質改良にも貢献できると考えられています。
水田センサーシステムの導入による省力的な酒造好適米の高品質化
こちらは長野県にあるV法人という団体の例です。
お米の品質低下が顕著であったが、それを解決する水位管理もとても負荷がかかるものであり、手が付けられない状況でした。そこで、高精度な水管理を目的に水田センサーを導入。作業の効率化を図ることができ、品質の改良にもつなげることができます。
最後に
担い手不足が深刻な日本の農業業界ですが、スマート農業はその課題に対する解決策として、現在注目を浴びています。
スマート農業を導入するにあたってはメリットだけでなく、デメリットも少なからず存在します。しかし政府や自治体、そして企業による支援の輪は広がっています。
これからますます発展していくであろうスマート農業を有効活用して日本の農業の未来を明るくしていきたいですね!
^1 http://www.maff.go.jp/j/seisan/gizyutu/hukyu/h_event/attach/pdf/smaforum-28.pdf