お正月と農業の切っても切れない関係を調べてみた
もういくつ寝るとお正月…そんな歌を口ずさむ子どもたちの姿を背に、クリスマスが終わったかと思いきや、今度は年末年始の慌ただしさの中に放り込まれてバタバタ…というご家庭も多いでしょうね。
お正月といえば、なんだか日本の農業文化と密接に関係がありそうな気がする…!ということで、お正月時期と農業との関係についてまとめてみました。年末年始のお忙しい中とは思いますが、ちょっと息抜きにご一読いただければ嬉しいです。
あのお正月グッズと農業の関係…!
正月飾りの代表的な「しめ縄」は、稲穂や稲ワラを使ったり米俵をかたどったりしたお飾り。どうやら米作り=稲作文化と深い関係がありそうです。
正月には歳神(としがみ)さまが、門松を目印にして天上から降りてくると言われています。歳神さまは稲作を守る神様でもあります。
歳神さまが天から降りてくる目印になるように「門松」を飾りました。1年間の稲作が順調にいきますように。そんな農家の願いが一年の中で最も早く現れる場所が「門松」なんですね。
さて、お正月といえばお雑煮と共に特別な料理である「おせち料理」を食べますね。ちなみにお雑煮にはお餅を入れますが、正月に飾る「鏡餅」もお餅です。これは、鏡餅はお迎えした歳神(としがみ)さまの座る椅子、お雑煮の餅は人間の食べる餅、という区別があったとか。
おせち料理ですが、よく知られているように縁起物として食べられています。
- 黒豆…まめに働き健康でいられるようにとの願い
- 昆布巻き…「よろこぶ」に通じる
- 田作り…その名の通り、豊作を願う
- 紅白なます…祝いの水引きをかたどったもの
おせち料理そのものも農林水産物で出来た「恵みの産物」ですが、稲作の豊穣を願う「田作り」のような縁起をかついだ味覚もありますね。地域によっては、1月2日に「うちぞめ」として、田んぼに門松や餅、田作り、豆などを供えて豊作を願う風習もあるようです。
七草粥にどんど焼き…日本の風習と農業の密接な関係…!
さて、お正月に降りてこられた歳神(としがみ)さまはいつまでいてくれるのでしょうか?
家に門松がある「松の内」の期間が、その歳神さまがおわす期間と言われています。松の内には定義が諸説あるようですが、現在は一般的に1月7日までと言われています。
1月7日に食べるものとしては「七草粥」がありますね。
1年間の無病息災を祈願する意味合いもありますが、豪勢な正月料理やお酒で弱った胃腸を七草(野草)の力で回復させるという意味合いも込められているのだそうです。
ちなみに「春の七草」、スーパーなどでパック売りされていますよね。
調べてみると、結構大変な労力を伴う農産物のようです。
出荷は、1年の中で正月明けから7日までの一週間のみ。そこに照準を合わせて7品目の収穫期をピタリと揃えなければならない。出荷日を絶対にずらすことができない契約栽培のようなものだ。リスク回避のため、大根やカブは出荷量の3倍くらい種を播くという。
https://agri-biz.jp/item/detail/7215?page=1
さて、松の内が終わって約1週間、1月15日は「小正月」と呼ばれる第二のお正月です。最近では地域の伝統慣習以外ではあまり馴染みがなくなってしまいましたが、小正月は五穀豊穣を祈願する行事の目白押し。農耕と深く関わってきた日本人の歴史が見えてきます。
- 餅花(もちばな)・繭玉(まゆだま)…木の枝の先に米粉で出来た餅を付けて飾る行事。穀物の豊作祈願を込め、稲の花に見立てて作られるのが「餅花」、蚕を育てる養蚕農家などによるものは「繭玉」と呼ばれますが、地域性などもあり明確な違いがあるわけではない。
- どんど焼き…正月に飾った門松、しめ飾り、書き初めなどを家から持ち寄って焼く火祭りのことで、「どんと焼き」「さいと焼き」「三九郎焼き」など地域によって様々な呼び名がある。この炎や煙に乗って歳神さまが天に帰っていくと考えられていた。餅花・繭玉を焼いて食べると風邪をひかなくなるなどの言い伝えもある。
- 粥占(かゆうら)…小正月に神社で行われる神事。農作物の収穫の吉凶を占うもので、神前に小豆粥を供える際に行われる。
まとめ:お正月、小正月は豊作を願う農家の祈りの時節だった…!
稲作の神でもある「歳神さま」への祈願を始め、小正月と呼ばれる1月15日などには五穀豊穣、1年間の農業がうまくいきますように、という日本の農村社会を生きる人々の想いが詰め込まれた大切な期間であることが分かりました。
忙しい現代人、盆も正月もあっという間に過ぎ去るものではありますが、この年末年始に改めてご自身の地域の慣習や、農業を生業として暮らしたご先祖様たちの営みに思いを寄せてみるのも良い機会かもしれませんね。
いよいよ年末です。ツチカウ編集部は1/5までお休みをいただきます。
どうぞ佳いお年をお迎えください。