クラウドファンディングによる農業プロジェクトの成功率を調べてみた
インターネットを通じて個人ができるプロジェクト支援の仕組みとして、クラウドファンディングが脚光を浴びていますね。(以前取り上げたクラウドファンディングについての詳細はこちら)農業分野でも実に様々なクラウドファンディングのプロジェクトが立ち上げられており、実際に資金調達に成功した例も多数あります。
一般的に、国内でのクラウドファンディングの成功率は30%と言われています。では実際に農業分野でのクラウドファンディングはどの程度成功しているのでしょうか?
クラウドファンディングの実績が多数ある2つのサイトで、その成功率を検証してみました。これから農業分野で、独自性のある商品やサービス展開をお考えの方は、資金調達の手段としてクラウドファンディングを選択肢に入れてみても良いと思います。
検証方法
今回は、至って単純な方法で検証することにしました。
- 主要なクラウドファンディングのプラットフォームで「農業」関連プロジェクトを検索
- それぞれの目標達成(成功)状況をカウント
- 全体の件数を分母に、成功件数を分子にとって割合を計算
今回は主要な国内のプラットフォームとして、MakuakeとCAMPFIREを取り上げました。過去および現在進行中(2020年5月8日時点)のプロジェクトを対象に、「農業」でヒットした案件の成功率を調査しました。
Makuakeで検証してみた
Makuakeで「農業」を検索すると、437件のプロジェクトがヒットしました。金額的な達成%は高いものも低いものもありますが、この中で成功したプロジェクトの数をカウントしていきます。
全部で30ページをくまなく見てみました。
金額達成率は1%程度から、大幅達成したプロジェクトでは数千%に達するものもあり、非常に様々でしたが、なんとなく古いプロジェクトよりも最近のプロジェクトの方が達成状況が良いような傾向が見受けられました。
過去の知見などから達成しやすくなっているのか、クラウドファンディングの参加者が相対的に増えているためなのか、いずれにしても今後クラウドファンディングに取り組む人にとっては良い傾向ではないかと思います。
カウント結果は、成功プロジェクト数=277件。
成功率は277÷437=63.4%という結果!一般的に言われている数字よりもかなり高い成功率と言えそうです。
CAMPFIREで検証してみた
クラウドファンディングのプラットフォームとしては最大手の感もあるCAMPFIREではどうでしょうか?同じように「農業」で検索したところ、なんとその数763件。こ、これは調査するのも大変そうだ…(汗)
過去のプロジェクトについては、ステータスが「SUCCESS」つまり目標金額達成となったものがカウント対象です。地道に数えていったところ、下記の結果になりました。
カウント結果…成功プロジェクト数=291件。
成功率は291÷763=38.1%という結果。これは一般的なクラウドファンディングの成功率と言われている数値に近い結果でした。
プラットフォームによる成功率の違いはなぜ?
これについてしばらく考えてみましたが、プラットフォームの違いでなぜここまでプロジェクト成功率に違いが出るのかは、正直分かりませんでした。
一つの仮説としては、MakuakeとCAMPFIREでは利用者層に違いがある、つまりあくまでも目標金額達成という現実的な目的にコミットするプロジェクトを打ち出す人が多いのか少ないのか、といったユーザーの性格の違いなのではないかというところが観点なのですが、なんともこのあたりは分かりかねるところです。
総評
Makuake、CAMPFIREの成功率を総合すると、
プロジェクト総数=437+763=1,200件
成功プロジェクト数=277+291=568件
プロジェクト成功率=568÷1,200=47.3%
という結果になりました。世の中のクラウドファンディングによる農業関連プロジェクトの半数弱は成功している、と言い換えても良さそうです。
この結果を高いと見るか低いと見るかは個人の考え方になりますが、案外、資金調達の手段として農業に関するクラウドファンディングプロジェクトを立ち上げる!というのは現実的な選択肢になりうるという感覚を持ちました。
どうでしょう、これまで尻込みしていた方も、この機会にクラウドファンディングに挑戦してみては?
実際になにかのプロジェクトを応援する「支援者」として参加してみると、そのプロジェクトがどのような形で進捗し、リターン等に関する知見も得られると思います。興味のある方は、そのあたりからトライしてみるのが良さそうですよ。