農に対する師の思いを胸に〜株式会社LIBRE. インタビュー part2
前回、お二人の前職であるミスズライフの社長を「カリスマ的」と語り、大きく影響を受けたというお話がありました。実際、その社長がどんな考えの持ち主であったのか、今現在のお二人の農業に対する価値観を語る上で欠かせない人物が、実際どんなお話をされていたのか聞いてみました。
(岩下さん:)
「(社長は)持続可能な農業というのをずっと大事にしていました。やはりこのままでいくと、日本の農業は非常に危ういよという話は、常日頃から聞いていました。自分たちはぶなしめじを生産・販売しているので、本来であればあまり関係のないことなのかもしれないんですけど、(社長は)そうじゃないよ、日本全体で考えていかないといけない問題だよ、と言っていました。実際、耕作放棄地とかを借りて蕎麦を栽培して、自分のところで蕎麦屋をやろう、みたいな行動力を持っている社長でした」
こう話した上で、自分自身の考えも語ってくれた岩下さん。
「(耕作放棄地などの)同じような問題というのは日本中で起こっていると思うんですよね。もう高齢で、今まですごくいいものを作ってこられた農家さんでも、やはりお年には勝てないということになると思うんです。その方々がやめた時に、次に継承する人がいないのが現実で、この西海市でも同じようなことがあります。そこで私たちが、農業でも食べていけるんだぞ、というように、自分たちが独立しての成功事例を誰かに見せることができれば、若い方とかが、”じゃあ自分も農業でやっていってみようかな” って思うきっかけになれればと思って、二人でやり始めました」
まさに前職の社長の思いが引き継がれた形で設立された株式会社LIBRE。
こうした考えがバトンとなって後に受け渡されていくのは、日本の農業において、とても重要なことだと思います。
大浦さんも、
「こちらはみかんが盛んなんですよ。温州みかんがすごく盛んで、でも後継がいないっていうところがもうほとんどなんですよ。その農家さんたちもすごく美味しいみかんを作っているんですよね。どこに出しても自慢できるような、すごく甘いみかんです。だからそういうこともお子さんたちに継いでもらってやってもらえるような、手助けと言えるほど大したことはできないんですけど、なんかこう、販路を見つけてやれたらなあっていうのもあるんですよね」
と、将来のLIBREとしての展望を語ってくれました。
実際、ミスズライフに在籍している頃から独立した現在まで、ある取り組みを行っていることを明かしてくれました。
ほとんどのみかん農家さんがJAに出荷している状況下で、JAに出荷すると値段が安くなってしまうような小さいサイズのみかんを引き取って、お二人がレタスを出荷しているスーパーなどに持って行って販売するという取り組みです。
小さいみかんは果実が小さい分濃縮されて、甘みと酸味のバランスがよく非常に味が濃い。だから消費者には喜ばれるそうです。
岩下さん曰く、「(スーパーに持っていくと)非常に喜ばれることがありまして、僕らのレタスはいらないけどそのみかんは欲しいなんて言われたり(笑)」
農家さんの売り上げにも貢献することができるので、農家さんにも非常に喜んでいただいているそうです。
大浦さんも “またいいものを作るね” とおっしゃる農家さんもいると嬉しそうに語ってくれました。
そういった取り組みを少しずつでもやっていくことで、将来お子さんたちが帰ってきたときに、”継いでみようかな” と思ってもらえることを理想として、お手伝いを続けているそうです。
農業で地域貢献をする。
そんな思いを抱えたお二人のような人がもっと増えれば、地域活性化にもつながっていくように思います。
次回、最終回ではお二人にとっての仕事のやりがいや苦労する点、今後の展望などについてお伝えします!
(つづく)