農協(JA)に納める?農産物を販売して高い利益を得る3つの方法とは
農家が出荷用の農産物を出荷する先として多く利用されている農協(JA)。出荷先という機能に限らず、農業に関する様々なサポートを受けられることから、全国の農家にとっては「よろずや」的な存在でもあり、頼りになる組織です。
しかしながら、その規模や流通ルートとしての様々な事情から、農家にとってはやや利益率の劣る販売先であることが以前より指摘されており、「農業は儲からない」という印象に繋がっている傾向があることも確か。独自の販売ルートを持つことにハードルが高い個人農家にとっては、頭の痛い課題がそこにあります。
そこで、今回はJAに頼らずに販売ルートを確保する3つの方法について解説します。個人農家が「儲かる」ことで農業の発展を切に願い、この記事を書きました。ご参考いただけると幸いです。
農家が農協(JA)から離れがたい理由
その前に、どうして農家はJAに頼らざるを得ないのか、簡単にその理由を列挙してみます。
- 商いの全般(マーケティング、分析、販促など)を自力で実行する必要がある
- 失敗したら物だけが残りキャッシュはゼロになってしまう
- JAを通せばマージンが抜かれるデメリットはあるものの、規格の作物であれば基本全買取なので、確実な現金収入となる
- 補助金も申請書を自身で一から作る必要がない(作付予定、計画申請、農薬の報告までの面倒な書類作成を支援してくれる)
- 市町村、都道府県、農水省の補助金もJA経由であれば丸投げできる
- JAから外れることで、集落のネットワークで疎外感を味わうこともある
- 軽トラ、コンバインなどの機械のメンテ、修理故障対応も自身で見つけなければならない
これだけ手厚いサポート体制を持つJAには頼りたくなるのが人情。農業を支える一大組織としてJAが機能している理由はここにあります。
JAを通さない3つの販路
それでも若年層を中心に、JAを通さない販売ルートを見つけようとする動きは水面下に確実に存在しています。面倒もありますが、マージンを抜かれることもなく、販売額を自分で決められるので、やり方次第では農業で「儲ける」ことが可能になるのです。
その3つの販路とは、
- 道の駅
- 農産物直売所
- ネット販売
が代表的と言えます。ひとつずつ解説していきましょう。
販路1:道の駅
道の駅は、日本の各地方自治体と道路管理者が連携して設置し、国土交通省により登録された、商業施設や休憩・宿泊施設、地域振興施設等が一体となった道路施設のことを指します。(Wikipediaより)
道の駅の数は年々増加しており、2020年3月の時点では全国に1,173箇所の道の駅が登録されています。
道の駅には地域の文化・名所・特産物などを活用した農産物直売所があり、ここで農産物を販売することができます。
道の駅には(農産物直売所も同様ですが)施設を運営する組合のようなものが存在します。野菜などを出荷されている生産者さん組織のようなもので、その施設で野菜を販売したい場合には、その組合員になる必要があり、これを義務づけられているところが多数派のようです。
組合員になるためには入会金のようなものを支払う必要があり、このあたりは施設によって違いがあるので、詳細は出荷を考えている道の駅の運営元に問い合わせてみるのが早道です。販売の具体的な方法も教えてもらえるでしょう。出荷者を表すラベルなどは自分で用意することが一般的のようです。
販路2:農産物販売所
道の駅が国土交通省によって登録された施設であるのに対し、農産物直売所はJAや地方公共団体、第3セクターが運営しているケースが多いです。古いデータになりますが、平成年度の全国の直売所の数は16,816店舗(農林水産省・農産物地産地消等実態調査)となっており、大手コンビニや食品スーパーの1チェーンあたり店舗数よりも多いと言われています。店舗数が多いということは、それだけ農家の居住する地域内にチャンスが転がっているという言い方もできるでしょう。
農産物販売所での販売には一定のマーケティングセンスが必要と言われています。JAが運営する直売所は地域内顧客をターゲットとしている例が多く、公共団体や第3セクターによるものはエリア外や観光客をターゲットとしている例が多いため、生産物のニーズには微妙な違いがあるかもしれません。
また、道の駅も同様ですが、既に販売されている商品ラインナップと同じものを生産・販売しようとしても競合が多いため、特長・強み・差別化要素がないと思ったように売れないケースもあるでしょう。事前のリサーチで、直売所での扱いが少ない珍しい生産物を出荷すると売れ行きが良いなどの傾向があるかもしれません。
販路3:ネット販売
最近よく採られる方法が、インターネットを通じたEコマースによる直販です。近年、インターネットで買い物する人は増え続けており、野菜・果物のネット販売は有望な販路です。実際にネット販売で成功した農家の話もよく聞くようになってきました。ネット販売をうまく活用すると、しっかりと利益を出せるチャンスがあります。
ネットショップで販売するために、いきなり自前でホームページを作る、という例は稀です。ホームページが認知され、人が来てくれなければ売れる可能性は限りなく低いです。ウェブサイトの認知度を上げ、集客を図るには多大な労力や費用を覚悟しなければ難しい現実があります。自前でホームページを構築するのに貴重な労力や時間を使うのは得策ではありません。そのため、下記の方法が一般的です。
- 楽天などのインターネットショッピングモールに出店する
- ネットショップ作成プラットフォームを使い、ネットショップを作成する
ショッピングモール出店のためには、一定の出店料を払わなければならないこともありますが、Yahoo!ショッピングのように出店無料のケースもあるので、事前に調べておくと良いでしょう。販売手数料がかかるケースが多いので、こちらもチェックしておきたいです。
ネットショップ作成プラットフォームにはBASE、STORES、カラーミーショップなど有名どころがあります。また、ハンドメイドマーケットのminneや、農産物に特化した食べチョク、農家直売どっとこむなどもありますので、トライしてみるのも良いかと思います。
ショップやモールによっては必要条件を満たして審査を通す必要があるところがあったり、決済方法や送料、運送会社に関するルール作り、法的な事項に関する理解が必要だったりするケースもあります。いずれも店を持つ上で必須の事前準備なので、計画的に進めたいものです。
まとめ
今回はJAに頼らずに販売ルートを確保する3つの方法についてご紹介しました。これから新規就農を考える方や、もっと「儲かる農業」を実践したい方などは、ぜひこれらの直販系の流通ルートを検討してみてはいかがでしょうか。
農家が儲かる仕組みが整備、普及することで、国内の農業が盛り上がることを願ってやみません。ツチカウの記事がそういった農家さんたちの知識を培い、明日への希望に繋がってくれれば、編集部としてこれほど嬉しいことはありません!
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