土用の丑の日。一体何の日?
昨日(2020年7月21日)は土用の丑の日でしたがみなさんはうなぎを食べましたでしょうか?今年はニホンウナギの稚魚であるシラスウナギの国内採捕量が8.9トンと、前年同期の0.1トンから約90倍になったとのニュースがあり、うなぎの値段も下がるかなぁ。なんて期待していましたが、残念ながら今のところ安くなった感じはしていません・・・。
今回は、そもそも土用の丑の日とは何なのか?なぜうなぎを食べるのか?について解説したいと思います。
土用の丑の日とは
まず、「土用」は立夏(5月5日ごろ)・立秋(8月7日ごろ)・立冬(11月7日ごろ)・立春(2月4日ごろ)直前の約18日間の「期間」を示す言葉です。
そして、昔の暦では日にちを十二支(子・丑・寅・卯…)で数えていたので、「丑年」が12年周期で回ってくるのと同様に「丑の日」も12日ごとにあります。つまり「土用の丑の日」とは、土用の期間におとずれる丑の日の事を指しているのです。
土用は毎年違うので、土用の丑の日も毎年変わります。
さらに、土用の丑の日といえば夏のイメージが強いかもしれませんが、先述した通り、立夏・立秋・立冬・立春それぞれに土用があるので、毎年、年に何回かやってきます。
【2019年の土用の丑の日】
1月28日、4月22日、5月4日、7月27日、10月31日
【2020年の土用の丑の日】
1月23日、4月16日、4月28日、7月21日、8月2日、10月25日、11月6日
【2021年の土用の丑の日】
1月17日、1月29日、4月23日、7月28日、8月1日、10月20日、11月1日
なぜ土用の丑の日にうなぎを食べる?
「土用の丑の日」にうなぎを食べるのは、江戸時代の蘭学者、平賀源内が推奨したという説があります。(諸説あります)
うなぎの旬は本来は秋から冬。産卵前の脂を蓄えた、味が濃くこってりしている旬のうなぎに対して、夏のうなぎは人気がありませんでした。そこで、うなぎ屋が平賀源内に相談したところ、「丑の日に『う』がつくものを食べると夏負けしない」という言い伝えをもとに、「本日土用丑の日」という張り紙を店の前に張り出したら大繁盛!それから「土用の丑の日」にはうなぎを食べる風習が根付いたといわれています。
うなぎの栄養価
そうなると、夏にうなぎを食べて精を出す!というのはこじつけで、食べる意味ないのでは?と思ってしまうかもしれませんが、実際うなぎには多くの栄養が含まれています。
ビタミンA
栄養豊富なうなぎなのですが、特にビタミンAを多く含んでいます。
ビタミンAは眼や皮膚、粘膜を正常に保ち、視覚障害の予防・カロチンの吸収を助けるなどの効果があるといわれています。
また、ビタミンAは抗酸化作用を持つ「抗酸化ビタミン」のひとつであり細胞の老化を防止する働きがあるため、肌に良いだけでなく、がん・老化・免疫機能の低下に繋がる働きを抑えてくれます。
ビタミンB群
ビタミンB群の中でも特にビタミンB1、ビタミンB2を比較的多く含んでいます。
ビタミンB1は身体が疲れたときなどに疲労回復効果があり、ビタミンB2は口内炎や髪、爪、皮膚などを健康に保ってくれます。
カルシウム
歯や骨を丈夫にしてくれるカルシウムが、うなぎには豊富に含まれています。
カルシウムといえば牛乳ですが、うなぎ100gあたりにカルシウムが150mg含まれており、牛乳100gあたりにカルシウムが110mgとうなぎの方が少し含有率が高くなっています。
DHC
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、脳の働きをよくするために働いてくれる栄養素です。記憶力・視力の回復効果があり、がんや高血圧、糖尿病などの予防・改善にも効果があるといわれています。
また、DHAには悪玉コレステロールを減らす作用もあるといわれています。
EPA
EPA(エイコサペンタエン酸)は、脳梗塞や心筋梗塞といった血管の病気の予防に働いてくれます。また、コレステロール、中性脂肪を減らす働きもあり、血流を良くしてくれるので病気の予防にもなります。
絶滅危惧種のうなぎ
ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されています。世界で獲れるウナギの7割を日本人が食べているといわれ、個体数の減少の原因の一つは乱獲だとみられています。完全に養殖すれば、天然ものの数もそれほど減らなくてすむのでは?と思うかもしれませんが、うなぎの生態は謎が多く、「完全養殖」はなかなか難しいようです。
まとめ
夏の風物詩となったうなぎ。実は秋から冬が旬ということなので、今年は秋か冬にうなぎを食べてみてはいかがでしょうか?夏に食べるうなぎより脂がのっていて美味しいかもしれません。
そんなうなぎですが、その生体はまだ謎だらけ。なぜ「完全養殖」は難しいのか、現在はどこまで養殖技術は進んでいるのか。
次回はうなぎの生体について迫っていきたいと思います。