近年大注目!日本ワインの魅力とは?
今回は人気急上昇中の「日本ワイン」について紹介したいと思います。スーパーやコンビニ、通販などで、フランス産やスペイン産などとともに日本ワインが並んでいるのを見かけます。実は近年「日本ワイン」について明確な基準が設けられ、一躍注目されるようになりました。この記事では、日本ワインをより楽しむための豆知識をお伝えします。
日本ワインってそもそも何?
「日本ワイン」とは、日本国内で栽培されたブドウのみを使用し、日本国内で醸造されたワインのことを指します。これは、国税庁が制定した「果実酒等の製法品質表示基準」により決められたもので、2018年に施行されました。
参照:果実酒等の製法品質表示基準について 平成28年2月 税務署
参照:果実酒等の製法品質表示基準(国税庁作成「酒のしおり」より)
基準制定の背景
「日本ワイン」という呼び方は、これまでも存在していました。ではなぜわざわざ明確な基準を制定する必要があったのでしょうか。そもそも、海外の多くの国では、ワインの表示に関するルールが定められています。しかし、日本では公的なルールが定められていませんでした。また、近年日本ワインが国際的なコンクールで賞を受賞するなど、世界でも評価され始めました。このような現状から、日本ワインの認知向上という意味で基準が決められました。
さらに、ラベル表示に関しての議論がありました。従来、日本国内でつくられたワインは一般的に「国産ワイン」と呼ばれていました。この「国産ワイン」は、日本ワインに加えて、輸入濃縮果汁や輸入ワインを原料としたワインなど、様々な種類のワインを包含した呼び名でした。そのため、明確な決まりのないラベル表示では、消費者にとって違いが分かりにくいものでした。
参照:果実酒等の製法品質表示基準(国税庁作成「酒のしおり」より)
日本ワインと国産ワイン、輸入ワインはどう区別する?
以上のような背景から、日本国内で流通するワインは、基準に沿って大きく3種類に分けられました。
- 国産ブドウのみを原料とし、国内で醸造された「日本ワイン」
- 海外原料(濃縮果汁や輸入ワイン)使用し、国内で製造された「国内製造ワイン」
- 海外から輸入された「輸入ワイン」
ラベル表示にも細かい決まりがあり、表示できる情報の種類が異なります。
- 「日本ワイン」:「日本ワイン」の表記、地名、ブドウの品種名、ブドウの収穫年
- 「国内製造ワイン」:原材料名(例:輸入濃縮果汁使用)、原産地名
- 「輸入ワイン」:原産国名
特徴的なのが、「国内製造ワイン」にブドウの品種・ブドウの収穫年が表示できないという点です。このポイントをおぼえておくだけでも、ワインを選ぶ際に参考になるのではないでしょうか。
参照:果実酒等の製法品質表示基準(国税庁作成「酒のしおり」より)
参照:果実酒等の製法品質表示基準について 平成28年2月 税務署
参照:ワインラベルが語ること 国税庁
知っていれば鼻が高い!?日本ワインのラベル表示
ここではさらに的を絞って、人に話したくなる日本ワインのラベル表示についての豆知識をお伝えします。先程、日本ワインには地名・ブドウの品種・ブドウの収穫年を表示できると述べました。ここでは、3パターンの例を示した上で解説していきます。
①は前述の通り、日本で栽培されたブドウのみを使用し、日本で醸造されたワインのみが「日本ワイン」と表示できます。
②地名表示
A:長野県で収穫したシャルドネを85%以上使用し、長野県で醸造されたワイン
B:長野県で収穫したシャルドネを85%以上使用し、長野県以外で醸造されたワイン
C:長野県で醸造されたワイン
③ブドウの品種
シャルドネを85%以上使用していることを意味します。なお、2品種表示されている場合は、合計で85%以上使用していることを意味します。また、3品種以上の場合は、使用割合の合計が85%以上になるまで品種が表示され、各品種の割合も併記されます。
④ブドウの収穫年
2020年に収穫されたシャルドネを85%以上使用していることを意味します。
参照:果実酒等の製法品質表示基準(国税庁作成「酒のしおり」より)
参照:果実酒等の製法品質表示基準について 平成28年2月 税務署
参照:ワインラベルが語ること 国税庁
日本ワインに使用されるブドウの品種
ここからは日本ワインの中身に着目します。現在、様々な種類のワイン用ブドウが全国各地で栽培されています。なかでも、日本固有のブドウを使用したワインが、国際的に高い評価を受けています。ここでは、日本ワインに使用される代表的な品種である、白ワイン用の「甲州」と赤ワイン用の「マスカット・ベーリーA」について解説していきます。
「甲州」は、山梨県が原産のブドウ。古くから食用・ワイン用両方で親しまれています。柑橘系の爽やかな香りと、やわらかい酸味が特徴です。現在、日本ワインに最も多く使用されているブドウです。
「マスカット・ベーリーA」は、新潟県の岩の原葡萄園の創業者・川上善兵衛氏が、ラブルスカ種ベーリーとヴィニフェラ種マスカット・ハンブルグを交配し誕生したブドウです。食用にもされ、赤ワイン用ブドウとして最も多く使用されています。ベリー系果実の甘い香りと、穏やかな渋みが特徴です。
この2種類のブドウは現在、国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録され、EUに輸出するワインのラベルに品種名を表示することが可能になりました。
参照:日本ワイナリー協会 日本ワインの基礎知識
参照:ENOTECA online 「日本ワイン」150種以上の日本ワインが勢揃い!
日本ワインのホットスポットはどこ?
現在、北は北海道から南は沖縄まで、各地域の環境に合った栽培方法でブドウがつくられ、様々な種類の日本ワインがつくられています。そのなかでも特に日本ワインの生産が盛んな地域が、北海道・山形県・長野県・山梨県の4ヶ所です。ここでは、4道県の日本ワインについて解説していきます。
①北海道
特徴:白ワインづくりに適した風土ながら、近年は赤ワイン用ブドウのピノノワール栽培も盛ん。また、新しい醸造技術を積極的に導入することで、個性溢れる味わいが話題となっています。
おすすめワイナリー:北海道ワイン、ふらのワインなど
②山形県
特徴:東北でのワイン生産量NO.1の山形県。家族経営のワイナリーから大規模ワイナリーまで様々。品種にとらわれず、風土を生かしたワイン造りで生産量を伸ばしています。
おすすめワイナリー:高畠ワイナリー、朝日町ワインなど
③長野県
特徴:県が「信州ワインバレー構想」を発表し、近年小規模ワイナリーが増加中。コンコードやナイアガラ、シャルドネなどの品種が中心です。また、国際的なコンクールで金賞を受賞した桔梗ヶ原メルローは海外からも注目される日本ワインです。
おすすめワイナリー:五一わいん、ヴィラデストワイナリーなど
④山梨県
特徴:勝沼地域を中心として、ワイン生産量、ワイナリー数がともに日本一。甲州とマスカット・ベーリーAを筆頭に、カベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどから風土とワイナリーの個性を出した上質なワインがつくられています。
おすすめワイナリー:マンズワイン勝沼ワイナリー、サントリー登美の丘ワイナリーなど
参照:日本ワイナリー協会HP
参照:ENOTECA online 「日本ワイン」150種以上の日本ワインが勢揃い!
参照:美味しいワイン 日本ワインのコスパ最強なオススメ10選!国産ワインとの違いや名産地も解説
日本国内のワイン市場はどうなる?
2018年に日本ワインに関する基準が施行されましたが、この出来事がどんな影響をもたらしたのでしょうか。
2019年3月現在、国内のワイナリー数は331場あり、2年前から28場も増加しています。また、日本ワインの輸出量も増加しています。しかし、日本国内のワイン流通量における日本ワインの割合は、輸入ワイン66.5%に対して日本ワインはわずか4.6%とまだ少ないのが現状です。また、国内製造ワインにおける日本ワインの生産量の割合も20.2%となっています。
そんな状況のなか、「日本ワイナリーアワード」が創設され、品質の高い日本ワインをつくるワイナリーを表彰しています。また、日本ワイナリー協会のHPでも、有名なワイナリーの紹介やワインの検索、低価格なワインから高級なワインが呑めるお店の検索まで、多くの情報を提供しています。
参照:国内製造ワインの概況 令和2年2月 国税庁課税部酒税課
参照:日本ワイナリーアワード2020HP
日本ワインまとめ
日本ワインの注目度と比例するように、新しいワイナリー、新しい銘柄の日本ワインが次々と生まれています。そのどれもがオリジナリティに溢れ、香りや味わいにワイナリーのこだわりが表れています。日本ワインの豆知識とともに自分好みの日本ワインを嗜んでみてはいかがでしょうか。