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モロヘイヤの栽培・育て方マニュアル|簡単&お手軽でもモリモリ収穫できる!

「モロヘイヤってあの、一品料理とかに出てくるネロォッとした食感の野菜?」
そう、モロヘイヤは食卓ではあまり馴染みがないものの、町おこしの中心的なご当地食材だったり、心身のデトックスを促す効能があったりと、さまざまな“顔”を持つ葉野菜です。

クセがありそうな第一印象とは違い、美味しさや成分、力強い自生力などの個性にも魅了されてしまって……。

今回は、王様にも好まれてきた野菜・モロヘイヤの栽培方法に焦点を当てていきます。害虫などの外因にも強いため、ナチュラルにのびのびと育てることができますよ。

目次

モロヘイヤの特徴・よもやま話

モロヘイヤについて

モロヘイヤは葉を刻むと独特のぬめりが出る、夏のネバネバ野菜です。
インドやアフリカを原産とし、古代より神秘的な「王家の食べ物」として、かのクレオパトラにも好まれてきました。

モロヘイヤには毒素を分解する浄化機能があるとされ、重病を治すなどの古の逸話に事欠きません。モロヘイヤ自体にも毒性が備わっているため、そこに“毒をもって毒を制す”ホリスティックな医療世界が内包されているかのように見えます。

植物としてもまた、一度植えたら何度でも若葉が生えてくる生命力の高さが顕著です。
モロヘイヤは1980年代に日本でも一躍ブームとなり、その栄養価の高さに注目が集まりました。カロチンやカルシウム、ビタミンB1・B2、カリウムなどの含有量が、野菜の中でもトップクラスのモロヘイヤ。体を温める陽性食材として、夏バテ防止などの健康面や美容効果にも定評があります。

ライフスタイルが陰性に傾いている現代人にとって、モロヘイヤの強いパワーはこの先見て見ぬふりできないものとなっていくのかもしれません。

群馬のケンミン野菜?

モロヘイヤは世界を見廻しても、熱帯気候の中で育ちやすい葉野菜です。
ゆえに日本でも夏場に収穫が続き、都道府県別の生産量では群馬県がトップに躍り出ています。

群馬県といえば、最高気温が過去に桐生市や伊勢崎市で40.5度、館林市や上里見町で40.3度を記録した“灼熱のまち(いずれも南東部)”。内陸性の気候に加え、都心のヒートアイランド現象による熱風や雷雲が流れ込む群馬県では、もはやモロヘイヤが畑を制圧するのにはうってつけかもしれません。

群馬県内の日々の食卓にはモロヘイヤが溶け込み、おひたしやスープ、天ぷら、ぶっかけ青菜ご飯として広く好まれているのだそう。モロヘイヤが日本の野菜と呼ばれるまでには、今後も群馬県と県民による熱気が欠かせないように感じられます。

モロヘイヤ栽培の手引き

モロヘイヤの栽培にあたっては、以下の基礎知識と注意点を押さえておきましょう。
なお、モロヘイヤは品種分化がされておらず、ほとんど原種に近い野菜です。植物自体に強さがあるため、ご自身の目や手も判断材料とし、追肥のタイミングなどは臨機応変に対処してください。

[栽培概要]
暑さや乾燥に強い高温性の植物であり、低温と霜に弱いのが特徴です。
日当たりと風通しの良い環境下でグングン育ち、病害虫も少ないため初心者向き。
こまめな摘芯と収穫を続けることで、秋に花が咲くまで栽培を楽しむことができます。
収穫期間をより長く保つためには、肥料切れとならないよう追肥に気を配りましょう。
モロヘイヤの種子は有毒で、強心作用や中毒などを引き起こすおそれがあるため、誤って口から摂取しないように要注意となります。

[栽培スケジュール]
種まき:4月下旬~6月中旬
植え付け:5月下旬~7月上旬
収穫:7月~10月中旬(最盛期:8月)

[温度管理]
発芽適温:25~35度
生育適温:25~30度

[栽培管理]
水やり:土表面の乾燥状態が続かないよう適宜
追肥:植え付け、収穫開始後20~25日おきに実施

[病害虫]
病気:うどんこ病、灰色かび病
害虫:ハダニ、コガネムシ、バッタ

モロヘイヤ栽培の作業ステップ

こちらでは家庭菜園をベースとした、一般的な種まきから収穫までの流れを説明します。

手順1:種まきと育苗

5月頃を目安に、栽培の第一手である“種まきと苗作り”を開始しましょう。
種子は1~2日間、水かぬるま湯に浸けておくと発芽がしやすくなるため、あらかじめご準備を。

3号ポット(直径9cmの鉢)に用土を入れ、種を5~6粒ほど蒔き入れます。種自体が小さいので、覆土は1~2mmの厚さで隠れる程度に被せればOK。モロヘイヤは寒さが残っていると発芽しにくいため、遅霜が降りやすい朝晩を中心に、新聞紙や藁などで土を覆っておきましょう。

苗が育って本葉が出てきたら細いものから間引いて3本立ちにし、本葉が5~6枚になる頃には1本立ちにします。草丈が15cmの大きさになったら、まもなく植え付けが可能です。

手順2:土づくりと畑の準備

モロヘイヤの栽培に適しているのは、pH値(好適土壌酸度)が5.5~6.5の土です。プランターや鉢植え用には、市販の花・野菜用の培養土を使うのがおすすめ。

露地栽培では、赤玉土6:腐葉土2:バーミキュライト2の割合で用土を配合し、よく耕してから苦土石灰や堆肥を大さじ1~3ほど混ぜ込みます。畑には幅90~100cm、高さ10~15cmの畝を立てておきましょう。

手順3:植え付け

株同士の間が30~40cmになるよう配置し、はじめに育苗ポットと同じぐらいの大きさの植え穴を掘ります。
植え付け先の土にはたっぷりの水を与え、ポットから苗を取り出したら根が崩れないように浅めに植えましょう。株元に土を寄せ、軽く手で押さえるようにしながら苗を安定させます。

定植後、苗周辺の土にふたたびたっぷりの水を含ませたら作業は完了です。
もっとも、低温を嫌うのは相変わらずのため、気温が低い場合は引き続きポリシートなどで圃場を保温してください。

手順4:施肥(目視で判断のこと)

追肥は苗の植え付け後、3週間以上経ってから半月~月に1回のペースで行うのが一般的です。

苗木の根がしっかり張ってから、地植えでは化成肥料を株の周りに施しましょう。
プランター栽培には液体肥料が手軽でおすすめですが、使用頻度は化成肥料よりもやや多めにしておきます。とはいえ化成肥料・液体肥料はともに与えすぎてしまうと、肥料焼けの害が及ぶおそれがあるため要注意。

微生物の種類が豊富な土壌では、肥料を低減できる代わりに、葉や茎の様子を見てきちんと育っているかを確かめます。葉の丸みがなくなったり、茎が赤みを帯びていたりしたら肥料が不足している合図です。

手順5:栽培管理と収穫

モロヘイヤは草丈がどんどん高くなる旺盛な植物です。雨風の強い時期は倒伏しやすいため、なるべく支柱を立てて安定させましょう。

草丈が50cmぐらいまで伸びてきたら、下葉を3~4枚残して主枝を摘芯すると、脇芽の生長が促されて収穫量が増えていきます。
一方、脇芽が伸びてくると、葉が重なり合って風通しが悪くなるため、収穫を兼ねて葉を適宜摘み取るようにしましょう。収穫は、枝先を15~20cm切り取る形で何度もできますが、秋に花芽が出来たら栽培終了です。

なお、モロヘイヤは成熟した種子や種を覆っているサヤ部分のほか、発芽したての若葉にも毒性が含まれています。が、収穫期の葉や茎、根などは安全であり、柔らかくみずみずしい緑色の葉はいずれも食用にして問題ありません。

応用編:挿し木とコンパニオンプランツ

モロヘイヤは挿し木によって収穫量を増やすことも可能です。
収穫後に残った茎の硬い部分10cmほどを水の入ったコップに1週間程度浸け、根が生えてきたらプランターや畑に植え付けましょう。一般的な育て方よりも簡単かつ手早く育てられ、親株と同じように丈夫な葉が収穫できます。

また、モロヘイヤは病害虫の被害や連作障害が少ないため、コンパニオンプランツを導入してみるのもおすすめです。
コンパニオンプランツとは、傍らに植えることで病害虫を抑えるなどの相乗効果を生む植物のこと。モロヘイヤの場合は、バジルやマリーゴールドなどが当てはまり、これらを植えるだけで生育にプラスの影響を与えてくれます。

モロヘイヤで血液サラサラ・夏バテ予防を

王族が愛したモロヘイヤは、高い栄養価とデトックス効果が際立つ夏野菜。
血液がサラサラになるうえ、夏バテ防止に最適な成分が葉にギュッと含まれています。
夏の日光の中で育ったパワフルなモロヘイヤは、私たちの健康や気分までも底上げしてくれるはず。ホームガーデンを楽しく、生活にハリと潤いを与えてくれる夏野菜の王様、今年こそおすすめです。

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