畑からはじまるスキンケア!美と健康のための注目素材⑥カモミール
カモミールの和名は「加蜜列(かみつれ)」といいます。カモミールは「マザーズハーブ(お母さんの薬草)」「植物の医者」の異名をもち、ヨーロッパでは4千年も前から薬草として用いられてきました。日本でもカモミールは、安眠を誘うハーブティーとして広く知られていますね。そんなカモミールの香り、体への効果、美肌効果など、生活にとりいれたい効能がいっぱいのカモミールについてみていくことにしましょう!
ローマンカモミールとジャーマンカモミールの違い
カモミールの品種
カモミールにはいくつかの種類があります。日本でよく知られているのが「ジャーマンカモミール(英名: chamomile、学名:Matricaria recutita)」、そしてその近縁種であるローマンカモミールです。どちらもハーブティー売り場でよく見かける品種です。そのほかにも、香りのないイヌカミツレ、園芸品種のカミツレモドキなどハーブではない品種もあります。
ジャーマンカモミールとローマンカモミールとの違い
ジャーマンカモミールの近縁種である「ローマンカモミール (英名:Roman chamomile 学名:Anthemis nobilis)」は見かけや成分がよく似ており、共通点も多いのですが、実は植物学上では属が異なる別の植物なのです。両者ともに香りがよく、花を染色やハーブバス(薬用風呂)に用います。大きな違いはジャーマンカモミールが一年草であるのに対して、ローマンカモミールは多年草であることです。
また、ジャーマンカモミールとローマンカモミールの違いはハーブティーにしたときに、味に現れます。ローマンカモミールはジャーマンカモミールと比較するとやや強めの苦みを感じることが特徴です。このような理由からカモミールのハーブティーといえば、苦みが少ないジャーマンカモミールを使うことが一般的です。
リンゴのようなカモミールの香りの効果
カモミールはどんな香り?
カモミールの名前はギリシャ語の「大地のリンゴ」に由来します。カモミールの花の香りがリンゴのようなフルーティーさを感じさせることから名付けられました。このカモミールの花をお湯に浸してお茶にすると甘みのあるフローラル調に加えて軽い干し草のような香りが感じられます。フレッシュな花とはすこし印象が変わります。
また、カモミールを蒸留して抽出する精油(エッセンシャルオイル)は、神秘的なブルーをしています。この精油をそのまま嗅ぐと、強くて不快ともとれるのですが、他の精油とブレンドしたり、希釈するなどすると、フルーティーな心地よい甘さが引き出されます。
不安や落ち込みを感じたときに助けてくれる香り
そんなカモミールの香りは、自分らしさを見失い、メンタルが落ち込んでしまったり、不安などを感じるようなときに、緊張をやわらげ、本来の自分をそのまま受け入れられるよう導いてくれるといわれます。ローマンカモミールにも同じような効果が認められていますが、女性の心や身体に対しては、ジャーマンカモミールのほうが効果が強いとされます。
「植物の医者」カモミールの体への効果
カモミールはヨーロッパの民間療法でもっとも代表的な薬草で、「植物の医者」ともいわれます。風邪かな、体調がおもわしくないな、と感じたら、真っ先に飲むのがカモミールティーというように、ちょっとした不調から大切な体を守るための身近な存在なのです。
カモミールの健康効果
風邪の初期症状以外にも下痢気味のとき、ストレスなどで胃がしくしく痛むという場合にもカモミールティーが有効です。カモミールのアズレン誘導体とよばれる物質が胃の粘膜を丈夫に、また消化の働きを正常にするともいわれます。貧血、冷え性、生理痛など女性特有の不快感にもカモミールティーがおすすめです。
安眠効果
カモミールには心身をリラックスさせる効果が認められています。ベッドに入る1~2時間前にあたたかいカモミールティーを飲むと安眠効果が期待できますよ。カモミールの不安や緊張をゆるめる働きによって、安眠に導いてくれるのです。睡眠の質が悪い、不眠症気味と感じているならぜひ試してみてはいかがでしょうか。
疲労回復や痛みにも
カモミールの茎葉や花を布袋に入れる、カモミールティーを濃く煮出すなど、カモミールを入浴料として利用する方法も人気の民間療法です。体の疲れが抜けないとき、神経痛や腰痛などの痛みが気になるときなどに、ゆったりとカモミールの香りに癒されながらの入浴が効果的だといわれます。カモミールの香りを蒸気から取り入れることによって花粉症や鼻づまりのつらい症状を軽くする効果も期待できますよ。
カモミール摂取時の注意点
ジャーマンカモミールとローマンカモミールは属名が異なりますが、同じキク科の植物です。キク科の植物に対してアレルギーを起こす体質の方は使用を避けていただく必要があります。安全性の高いハーブですが、妊娠中、授乳中、ほかに薬を飲んでいる場合などの摂取に関しては医療関係者に相談してみてください。
肌にもやさしいカモミールの美肌効果
「カモミール配合」という化粧品を目にしたことはありませんか?カモミールは肌に対して保湿や整肌作用などの効果が認められているので、スキンケア、メイクアップ、ボディケア、ヘアケアまで広く製品に配合される成分です。クリーム、ボディウォッシュ、入浴剤、シャンプー、シートマスクなど、さまざまな化粧品に用いられています。では、そのカモミールの美肌効果を探ってみましょう。
大人のニキビ肌に
思春期のニキビは過剰な皮脂分泌が原因、ホルモンバランスの乱れによるものといわれます。10代以降のニキビは皮脂以外にも、ストレスや消化機能の衰えなどによることがあります。そんなときに役立つのがカモミール配合のスキンケアがおすすめです。
炎症が気になる肌に
カモミールにはアレルギーによるさまざまな症状を鎮静する働きが認められています。かゆみや赤味が気になる肌のために、カモミールが有用だとして化粧品に配合されています。敏感になっている肌用の化粧品にもカモミールが使用されることが多いので、ラベルの成分表に注目してみてください。
シミ・ソバカスが気になる肌に
カモミールは美白化粧品に配合される有効成分のひとつです。シミやソバカスの原因となるメラニン色素は、表皮の「ケラチノサイト」から分泌される「エンドセリン」による指令によって合成がうながされます。カモミールがこの「エンドセリン」からの指令を抑えることによって、シミやソバカスの原因を断つ、美しい肌を保つといわれます。
参考文献:https://www.jstage.jst.go.jp/article/skinresearch1959/41/4/41_4_475/_pdf/-char/ja
こどものためのスキンケアに
カモミールのやさしい炎症鎮静効果はこどものためのスキンケアにも利用されます。赤ちゃんの湿疹やおむつかぶれのための製品にもカモミールが配合されていることがよくあります。カモミールの自然のやさしさをこどもの繊細な肌のケアに使ってあげてください。
カモミールのおすすめ利用法
コンパニオンプランツ
もっとカモミールを楽しみたいなら、ご自身で育ててみるのはいかがでしょう?育て方は簡単なので初心者にもおすすめです。カモミールはキャベツなどの野菜の近くに植えておくと害虫除けになり、近くに生える植物を元気にするため、コンパニオンプランツとしても活躍します。ティーや入浴剤として使用したカモミールの残りかすを土にもどせば、エコな肥料として使えますよ。
フレッシュな花でいれるカモミールティー
カモミールの開花時期は5~6月です。花が咲いたら茎を残さないように摘み取っていきます。フレッシュな花でいれるカモミールティーはフレッシュな風味が楽しめます。使いきれない花は、日陰で乾燥させて保存して使用しましょう。
カモミールで心も体もやさしくケアしてみよう
ヨーロッパでは薬草といえば、カモミールといわれるほどその効果が知られています。ハーブキャンディーにもカモミールが配合されることもあるので試してみてはいかがでしょうか?ハーブティーの薬草っぽい香りや苦みが気になるなら、ほかのハーブや食品とブレンドして使ってみてください。