新規就農するなら知っておきたい補助金のこと【2021年版】
人手不足であると言われている農業業界ですが、ここ数年40代以下の新規就農者の数が高水準で推移していると言われています。読者の方々の中にも、「新規就農に興味がある」という方はいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、就農するにあたって気になるのはお金のこと。就農はしたいけど十分な資金が用意できない、補助金について知りたいけどどうしたらいいかわからないなど、様々な不安が募ってくると思います。この記事では新規就農者が得ることのできる補助金「農業次世代人材投資資金」について詳しくご紹介します。
新規就農者がもらえる農業次世代人材投資資金とは?
農業次世代人材投資資金とは、
”次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農前の研修を後押しする資金(準備型(2年以内))及び就農直後の経営確立を支援する資金(経営開始型(5年以内))”
参照:農林水産省
のことです。
その名の通り、次世代の農業を担う人材が研修を受けやすくなるよう、そして経営を確立しやすくできるように準備されている資金になります。
農業次世代人材投資資金をもらうための条件
準備型と経営開始型のそれぞれに交付要件が課せられています。
どちらを受けるにしても要件が細かく指定されているので、条件を満たしているかどうか、注意深く確認する必要があります。
準備型
準備型は、就農に向けて必要な技術などを習得するために研修を受ける人に対して資金を交付するものを指します。条件は以下の通りです。
対象者:就農予定時に49歳以下の人
交付額:最大150万円/年(最長2年間)
交付主体:都道府県、青年農業者等育成センター、市町村、農業委員会ネットワーク機構
要件:
- 独立・自営就農または雇用就農または親元就農を目指すこと
- 都道府県などが認めた研修機関などで概ね1年以上かつ概ね年間1200時間以上研修を受けること
- 常勤の雇用契約を締結していないこと
- 原則、前年の世帯(親子及び配偶者の範囲)所得が600万円以下であること
- 研修中の怪我などに備えて傷害保険に加入すること
1番の条件に関して、独立・自営就農を目指す方々は、就農後5年以内に認定新規就農者または認定農業者になることが必要になります。また、親元就農を予定している方々は、就農5年以内に経営を継承することが条件になります。
条件を満たし交付が決まった後でも、基準を満たさなかった場合は交付が停止されたり返還する必要が出てきます。交付停止もしくは返還の必要が出る条件は、以下の通りになります。
- 適切な研修を行っていない場合
- 研修終了後1年以内に49歳以下で就農しなかった場合
- 交付期間の1.5倍(最低2年間)の期間、農業を継続しない場合
- 独立・自営就農者について、就農後5年以内に認定新規就農者または認定農業者にならなかった場合
- 親元就農者について、就農後5年以内に経営を継承しなかった場合(法人の場合は共同経営者にならなかった場合)
持続的に農業に携わる人材を育成するためにも、こうした細かい条件を定めることは大切なのかもしれません。
経営開始型
経営開始型は、次世代を担う農業者になることを目指し、独立・自営就農する認定新規就農者に対して交付する資金のことを指します。条件は以下の通りです。
交付対象者:独立・自営就農時に49歳以下の者
交付額:経営開始1〜3年150万円/年
経営開始4〜5年目/年
(最長5年間・前年の所得によらず定額)
交付要件:
- 認定新規就農者であること
- 経営開始5年目までに農業で生計が成り立つ実現可能な計画を策定していること
- 経営を継承する場合、新規参入者と同等の経営リスク(新規作目の導入など)を負うと市町村に認められること
- 人・農地プラン(※)に中心経営体として位置付けられている、または農地中間管理機構から農地を借り受けていること
- 原則、前年の世帯所得が600万円以下であること
※人・農地プランとは、これから先の地域の農地を誰がどうやって守っていくのかを明確にする必要があることから、市町村によってこうしたプランを策定することが推進されています。具体的には、話し合いを通して5年10年後に農地利用を担う中心経営体を決定することを指しています。
経営開始型はこれから実際に一人前の農業従事者として携わっていく必要があるため、サポート体制・中間評価の機会を得ることができます。具体的には、下記のような支援を受けることができます。
- 市町村は、サポート体制を整備し、サポート計画を策定
- 経営開始3年目終了後に、所得水準等を含む共通の評価基準に基づき中間評価を実施し、支援方針を決定
準備型と同じく、基準を満たさなかった場合は交付が停止されたり返還する必要が出てきます。
停止の基準:
- 原則、前年の世帯所得が600万円(次世代資金含む)を超えた場合
- 適切な経営を行っていない場合
- 中間評価において、経営発展する意欲が乏しく、所得目標の達成が見込まれないと市町村に判断された場合
返還の基準:
- 交付期間終了後、交付期間と同期間以上、同程度の営農を継続しなかった場合
ここまで農業次世代人材投資資金の種類や交付要件について見てきました。
交付要件や交付が停止されてしまう条件を見ていると、「認定新規就農者」になることがキーポイントになることが分かります。では、実際に認定新規就農者にはどのようにしてなることができるのか、詳しく知りたい方はこちらの記事をご確認ください。認定新規就農者になればメリットだらけ!?
農業次世代人材投資資金への申請手続きや提出書類など
ここではどのような手続きを踏み、どんな書類を揃えれば農業次世代人材投資資金への申請を行うことができるのかご説明します。
準備型
準備型に申請する場合は、市町村もしくは全国農業委員会ネットワーク機構(全国農業会議所)に申請書類を提出する必要があります。
必要提出書類は、以下の通りです。
- 研修計画
- 交付申請(半年ごと)
- 研修状況報告(半年ごと)
- 就農状況報告(毎年7月末及び1月末)
- 就農報告(就農後1ヶ月以内)
経営開始型
経営開始型に申請する場合は、市町村に申請書類を提出する必要があります。
必要提出書類は、以下の通りです。
- 青年等就農計画等(※)
- 交付申請(半年ごと)
- 就農状況報告(毎年7月末及び1月末)
※青年等就農計画について知りたい方は、こちらの記事をご確認ください。
新規就農者への支援体制
ここまで、新規就農者がもらうことのできる補助金の交付条件や手続きの方法についてご紹介してきました。しかし、交付金などの詳細情報も含めて「自分がいる地域では具体的にどのようなサポートをしてもらえるのか知りたい」という方もいらっしゃると思います。そんな方々におすすめなのが、地域の新規就農サポート宣言です。ここでは各自治体がどのようなサポートを行っているのか検索することができます。このコンテンツが載っている【農業をはじめる.JP】は新規就農においてわからないことなどがあった際に何でも調べることができるサイトになっています。詳しくはこちらからご覧ください。