遊休地を活用したゼロから始める野菜塾
令和3年度より、長野県飯綱町でスタートした「ゼロから始める野菜塾」。
りんごの町として名高い同町ですが、これは野菜栽培の裾野を広げるべく、新しい町の特産となる野菜の育成や、有機栽培による高付加価値化などを目的とした講座で、受講生は文字通り「ゼロ」から野菜づくりを勉強し試験栽培を行なっていくというもの。
今回は、参加者自らが考え実地で学びながら「野菜づくり」が体験できる、地域の取り組みについてご紹介いたします。
参加者が主体的に考え学ぶ野菜づくり
同講座の大きな特徴は、決められたテーマについての知識や技術を学ぶのではなく、受講生がやりたいことを決め、専門講師の指導のもと、一緒に学びを進めていくというところにあります。
場所は飯綱町内の遊休地を活用した圃場で、講師は信州大学工学部の大井美知男特任教授が担当。
「野菜栽培の何を学びたいのか」
「どんな野菜をどう栽培したいのか」
など、テーマや進め方など、参加者と講師が一緒になって内容を決めていくため、学ぶ側にとってはそれだけでカスタマイズされた、かなり満足のいく実効性の高い講座となることが期待されています。
募集はあいにく締め切りとなってなっていますが、こちらの事業の概要は以下の通り。
- 内容
野菜づくりについて学ぶテーマ、内容、進め方を参加者と講師が一緒になって決めていく勉強会
- 実施の回数等
概ね月2回の勉強会および栽培作目決定後、試験栽培を実施
- 募集対象
野菜栽培を始めたい人、野菜栽培に興味・関心を持ちの方
※募集はすでに終了しています。
信州大学工学部 特任教授 大井美知男氏
【講師プロフィール】
1950年東京生まれ。京都大学農学研究科修了。
1992年信州大学農学部助教授。2009年大学院農学研究科教授。研究分野は蔬菜園芸学。農学博士。
現在は信州大学工学部特任教授。
主な書籍:『地域を照らす伝統作物 信州の伝統野菜・穀物と山の幸』
依然人気の「有機栽培」
5月に行われた第1回目となる講座では、13名の方々が参加し取り組んでみたい野菜栽培や今後の進め方などについて意見交換を実施。
その中でも「有機栽培」「土づくり」「循環型農業」について勉強したいとの声が多く挙げられたそうです。
多様な農業者の育成に向けて
飯綱町では現在、農業者の高齢化や担い手不足により、農産物全体の生産量は減少傾向にあり、生産基盤の根幹が脆弱化しているという課題を抱えています。
また果樹や米などの特産地として知られているものの、野菜類の生産においては主力と呼べる農産物が少ないこと、さらに近年のオーガニック志向の高まりの中にあって、農産物の付加価値化や今後の方向性として、有機栽培等による「持続可能な農業経営」を大きなテーマと捉えてきました。
こうした背景もあって開講に至った「野菜塾」。
多様な農業者を確保・育成し、今後は野菜栽培農家の拡大や新たなる特産農産物の生産が期待されます。
同じスタート地点で誰もが気軽に参加でき、自分たちでゼロから創りあげていくという野菜づくりの勉強会。
農業経験者はさらなるステップアップに、また全く経験のない初心者の方にとっては農業への取っ掛かりとして、いずれの参加者もそのレベルや目的に応じた知識やスキルが習得できる、絶好の機会となりそうです。
【問合せ先】
飯綱町産業観光課 農政係
TEL:026-253‐4765 FAX:026-253-6869
(平日 8:30~17:15)
e-mail:nousei@town.iizuna.nagano.jp