アパレルが農業に取り組む! パタゴニアが実践する「リジェネラティブ農業」って?
みなさんは、パタゴニアと聞いて、どんな企業イメージを持ちますか。登山やサーフィンなどのアウトドア用品で有名ですよね。なかでも、衣料品に使用しているコットンすべてがオーガニックであり、環境問題に積極的に取り組んでいる企業としても知られています。
そんなパタゴニアが、「リジェネラティブ農業」という分野に力を入れているのをご存じですか?「リジェネラティブ農業」は簡単に言うと、農地の土壌を改善しながら生態系全体の回復に繋げることを目指す農業のことです。
さらに、アメリカの研究機関「ロデール研究所」によると、全世界の農地をリジェネラティブ農業に変えれば、世界の年間CO2排出量を100%土壌に吸収させることができるといいます。
そんなパタゴニアは、ロデール研究所とともに「リジェネラティブ・オーガニック認証(以下RO認証)」という制度をつくりました。
パタゴニアの取り組みとは一体どんなものなのでしょうか。
参照
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リジェネラティブ農業ってどんなもの?
リジェネラティブ農業は日本語で「環境再生型農業」とも呼ばれ、以下のような方法があります。
①不耕起栽培:土を耕さずに農作物を栽培する方法
②被覆作物の活用:休閑期に土壌を覆うように植物を植える方法
③輪作:同じ土壌で異なる作物を一定の順序で栽培する方法
④有機肥料の使用:微生物が分解することで植物が有機肥料を吸収する
こうした方法により、微生物や有機物の豊かな土壌ができあがり、作物が育ちやすい健康な土になるのです。
参照
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パタゴニアが取り組むRO認証制度とは
2017年、パタゴニアはロデール研究所とともに、「RO認証制度」を立ち上げました。
世界中で行われている、大量生産・大量消費を目的とした工業型農業による年間温室効果ガス排出量は、全世界で排出される温室効果ガスの4分の1と言われています。畑を耕すことにより、土壌に固定されていた炭素が酸素と結びつき、CO2となって空気中に排出されているのです。
そんな状況を解決するには、炭素を土壌にとどめておくことが大事なのだそう。農場を一つの生態系として捉え、土壌と生態系を回復しながら作物を生産すること。そこで「RO認証制度」では3つの軸を定めています。
①不耕起栽培、被覆などによる土壌の健康回復
②牧草・放牧を中心とする動物福祉
③児童労働の不使用、フェアトレードなどの社会的公平性
農家がRO認証を取得するためには、まず米農務省のオーガニック基準を満たしたのち、「ゴールド」「シルバー」「ブロンズ」のいずれかの認証を得られる仕組みです。
そして2020年春、パタゴニアは最初のRO認証製品となる「リジェネラティブ・オーガニック・チリ・マンゴー」を発売しました。
遷移先
https://www.patagonia.jp/product/ro-chile-mango/PRC03.html
参照
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きっかけはコットン栽培から
パタゴニアが「RO認証制度」を始めた原点は、世界中で行われているコットン栽培にあります。コットン栽培に使われる殺虫剤が、世界で使われている殺虫剤の16%を占め、発がんの可能性があること、オーガニックで栽培されているコットンはわずか1%であること。
パタゴニアが、製品に使用するコットンを100%オーガニックに移行したのは1996年。四半世紀が経った今でも、世界で流通しているコットンに占めるオーガニックコットンの割合は、ほとんど変わっていないそうです。
そこで、主軸であるアパレルと食品分野の両方で、リジェネラティブ農業に取り組み、インドの150以上の農場でRO認証を目指しています。
遷移先
https://www.patagonia.jp/pilot-cotton/
参照
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まとめ
「現行の工業型農業と森林伐採では、60年以内に農業利用が可能な表土が喪失する。アメリカでは毎年1億3千700万kgの除草剤を噴霧している。人と地球を本気で守りたいのなら食べ物からはじめるべき。」パタゴニアの前CEO、ローズ・カーマリオ氏の言葉です。こうした取り組みを知ったら、まずは発信することが最初にすべきことなのかもしれません。
また、従来の農業からリジェネラティブ農業に移行し、健康な土壌を取り戻すまで3~4年はかかると言われています。小規模農家が多い日本で実践するには、コスト面でハードルが高いため、農家には補助金を支給し、一方の消費者にはどんな人がどんな環境で生産したものか示すことが、リジェネラティブ農業が普及するかどうかのカギになるでしょう。
参照
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