インドア農業は、野菜を屋外ではなく屋内施設で栽培する農業方法です。温度調節された屋内施設で、トレイや吊り下げ式のモジュールを用いて作物を栽培していきます。特定の作物を一年中どこでも、省スペースで生産ができるため、これまでの農業のあり方を根本的に変えてきました。このインドア農業では、栽培から収穫まで、数時間のうちに消費者の元に野菜が届けられるようになると予測されています。
今回の記事では、そんなインドア農業とインドア農業を実施している企業について紹介していきたいと思います。
目次
インドア農業とは?
インドア農業とは、人工光を使って屋内で大量の葉物野菜を生産する農業のことを指します。インフレ率が上昇し、グローバル供給に限りがある時代になり、都市農業は食糧安全保障の面でも関心が高まっています。
暑さ・寒さ・台風など、気候にも左右されないことから、野菜を都市部へ安定して供給できることで重要視されています。
インドア農業の特徴
インドア農業は、わずかなスペースを活用して栽培が可能です。温室環境を人工的に作り出し、野菜や果物を栽培します。日本はもとより世界各国の都市部で、新鮮で安全な作物を早く届ける手段として期待されているのです。しかし、多くの農業企業は採算に合うビジネスモデルを見出すことができずにいるのが現状です。
また、21世紀における人口爆発による食糧問題は、日本のみならず世界的な課題となっています。経済レベルが上昇するとともに、需要の拡大に対応した食糧確保が求められています。このような観点から、インドア農業は今後間違いなく伸びる新しいビジネスモデルといっても過言ではないと言われています。
インドア農業を実践している企業の紹介
インドア農業は事業の難易度等により、チャレンジした多くの会社が倒産していっています。しかし、そんな中多額の資金調達に成功し、世界的に有名になりつつあるインドア農業企業があります。中には誰もが知る世界的大企業から莫大な出資を受け、海外に進出したり、自社技術を開発し、独自の戦略で育てていく農法などを開発したりしている面白い企業がありますので、いくつか紹介したいと思います。
大型資金調達に成功した「Plenty(プレンティ)」
現在、最も注目されているインドア農業企業が「Plenty(プレンティ)」です。シリコンバレーで創業した「Plenty(プレンティ)」は、2017年7月にソフトバンクを含めた投資家から、農業ベンチャーとしては破格の2億ドル(155億2600万円程度)の資金調達に成功したと発表されました。
プレンティは最新技術を用いてインドア農業に取り組み、センサーやLEDを駆使し、データ解析に基づいた農法を採用しています。遺伝子組換えも行わず、水の使用量を削減できたとされています。また、様々な種類の野菜や果物の栽培を可能にしました。特に従来のサプライチェーンでは鮮度が落ちるなどの理由から、一般的な食料品店には並ばなかったレッドリーフレタスやケール、水菜の一種なども栽培され、消費者へ届けられるようになりました。
食料の未来を考えるテック企業「Bowery Farming(バワリーファーミング)」
「Bowery Farming(バワリーファーミング)」は独自のソフトウェアとLED、ロボット工学を駆使し、従来の土耕栽培と比べて95%少ない水量で無農薬の葉物野菜を育てることを可能にしたインドア農業企業です。室内農場は都市近郊に作ることができるため、物流コストをさげることに成功しました。
農業企業「Infarm-indoor Urban Farming Japan(インフォーム インドア アーバン ファーミング ジャパン) 株式会社」
こちらの会社はベルリンに本社があり、日本の渋谷区にも拠点を置いています。
紀伊國屋などに店舗を設置させ、ファームで栽培されたハーブや葉物野菜を販売しています。各店舗にはスタッフが定期的に訪れ、店内で育った野菜を根が付いたまま収穫し、次のサイクルのために新しい苗を植えます。こうして、生産地から消費地までの輸送距離を最短にすることで、消費者は栄養価と風味に満ちた最も新鮮な状態で購入することが可能となりました。
CO2排出ゼロを目指した次世代工場「Oishii Farm(オイシイファーム)」
「Oishii Farm(オイシイファーム)」は、日本人CEOが経営するニューヨーク発の植物工場スタートアップです。戦略上の理由により、ステルスモードで研究開発を進めていました。量産化技術が確立した今回のタイミングで資金調達を行い、ここから世界中に最高品質の果実・野菜を届ける準備を整えたのです。
日本の伝統技術である施設園芸を活かした植物工場で、世界中の人々に日本品質の農作物を届けると同時に、日本発の技術で新たな世界産業への創出に挑戦する会社です。
こちらの会社は日本人による経営で、トヨタ自動車及び三井住友銀行から日本円にして55億円の資金調達を受けています。これにより、世界最大級のイチゴの生産工場の建設を完了させると同時に、世界進出をも進めた、これから期待される企業です。
まとめ
都心近郊では人口も多く、食物や作物の需要の増大と供給の減少が問題になっています。そんな中インドア農業は、限られたスペースでも建物を有効活用することで、より多くの作物を栽培することができるということがおわかりいただけたと思います。
都市部であればコストを下げられるばかりか、地産地消の実現も可能になります。今後、日本でもこのような次世代施設の建設が進み、食料問題等を改善できるようになるかもしれませんね。