フードロスをなくす逆転の発想&ハートフルな第一次産業の取り組み事例を紹介!
2021年9月29日
この惑星のすべての問題は、愛の枯渇から生まれる。
世の中の問題は、いくらでも複雑に考えられる上に、そうした方が折々での責任転嫁もしやすいように思います。が結局、最後に算出される公式は、シンプルな我が事として自身に返ってくるのが世の常ではないでしょうか。
本記事では、今いちど問題の原点に戻ってみることを提案し、殊に本来の恩恵がもっと享受されるべきであろう第一次産業に目を向けていくものとします。あなたが未来に残したいのは、効率や収益ばかりが重視され、作物も動物も環境までもが不健康になっていく農業ですか?それとも、姿形に色々な個性があって、それぞれに愛や栄養を育み、生き物すべてが互いを活かし合っていける世界ですか?まだまだ小さな種かもしれないけれど、以下では、未来の農へ希望を抱かせるスペシャルな取り組み事例をご紹介します。
目次
農業動物の聖域「ファーム・サンクチュアリ」って?
虐げられる物から可能性を持つ者へ
ファーム・アニマル・サンクチュアリを直訳すると、“畜産動物の保護区”。 この概念は動物レスキューの中でも、牛・豚・鶏・馬などの家畜として生きたひとつの生命を重んじ、最期の自由と慈しみを与える場所を提供するものです。 ファーム・サンクチュアリで終生飼養の主な対象となるのは、次のような境遇を負った動物たちです。- 過酷なファクトリーファーム(工場式農場)から虐待調査により救出、保護された家畜
- 安楽死を待つだけの引退馬や障がい馬
- 台風(ハリケーン)や洪水などの自然災害で置き去りになった家畜
- 飼い主側の生活事情や、病気・怪我などにより捨てられた動物
- 家畜市場や食肉処理場から自力で逃げ出してきた動物
畜産業界のジレンマ
食肉消費量は国(この場合は経済)の豊かさと因果関係があると考えられており、先進国が開発途上国を凌いで、世界の大きなシェアを占めています(※1)。また米国農務省によれば、世界全体の食肉生産量は2010年までの過去50年間で約5倍に膨れ上がり(※2)、今後も人口増加や低所得国の発展とともに需要が拡大していくと見られています。 このことから、畜産業はとりわけ生産能力やスピードを重視しなければならないのが実情です。安価で大量の餌を家畜に食べさせて早く育て、食肉市場へ需要以上に出荷し、結果として大量の食品ロスを生む悪循環になっています。その内情において動物の尊厳はほとんど無視され、人間本位で無闇やたらな生命利用の世界があります。 現状、劣悪な環境で自らの糞尿にまみれながら、麻酔なしの身体切断や、殴る蹴るなどの虐待を受ける動物がゼロになることはないのかもしれません。しかしながら、これらの問題は私たち社会が強要しているのであり、「安い肉をたくさん食べられること」を善とする消費者意識が昇華し、濃霧のように畜産業界を覆っているために起こります。もはや一頭・一匹・一羽の動物福祉における向上を、人間社会が許容していないためといわざるを得ないのではないでしょうか。 (※1)「世界の食肉需要」https://www.mitsui.com/mgssi/ja/report/detail/__icsFiles/afieldfile/2016/10/21/160909x_nozaki.pdf (※2)「(図1)世界の食肉生産量の推移」 https://lin.alic.go.jp/alic/week/2008/us/us20081117.htm私たちが今&将来的にトライできること①
“いのちの食べ方”を見つめ直す
世の中には、糖質制限やカロリー制限食、ベジタリアン食、ヴィーガン食、グルテンフリー、ローフード、マクロビ、一日一食、断食などの多様な食スタイルがあります。どれが正解とは決められませんが、食べ方を変えてみることは、タンパク質やビタミンなどの栄養的な側面からエネルギー代謝、精神状態や意識などの問題を含め、あらゆる気づきを得る機会になります。 「食前になぜ祈りを捧げるのか?」「怒りながら食べた時と感謝しながら食べた時の味の違いは?」など、食品を単一の次元だけで捉えず、いのちと向き合う姿勢を持つことも忘れてはならないでしょう。フードバンクで食品ロスを削減する
フードバンクとは、「食品の銀行」や「食べ物の仲介者」などを通称とする社会福祉活動です。余っている食べ物と、食べ物が足りていない施設や人をマッチングし、食品廃棄や食費節約などのメリットを互いに享受できる仕組みとなります。 フードバンクではさまざまな食品の取り扱いが可能であり、まるで巨大な1つの冷蔵庫を地域間で使い回すように何度も利用することができます。ファーム・サンクチュアリを見学&支援する
- 「Honey’s Farm Sanctuary」公式HP(https://honeysfarmsanctuary.com/)
- 「ファームサンクチュアリ オープンセサミ」公式HP(https://k-open-sesame.com/)
規格外野菜の“ものがたり”が価値になる時代へ
ふぞろいの農産物は、なぜ流通しない?
現在、野菜や果物は市場で定められたこれらの「規格」に応じて生産されています。- 大きさ(S/M/L)
- 重量
- 傷の有無
- 色
- 形状
- 品質(A/B/C)
「規格外 = NOT 訳アリ」とする逆転の発想
海外では、安売り~高級志向のスーパーいずれもが、規格外野菜を精力的に販売しています。詰め合わせセットであれば中身はお楽しみとなり、環境問題と結びつけて本来の価値で提供されているところも。色や形の違いが生産者と消費者の間でこだわりに変化し、選ぶ・見る楽しみにも繋がっています。 またフランスではユニークな広告を利用した、規格外野菜のブラックマーケットなるものを展開。チグハグな野菜そのものが“違法”とばかりに、まるでいたずらっ子に仕立て上げるような個性の引き出し方に成功しています。 日本でも水面下での取り組みが進んでおり、一般的には見た目を問わない原材料として商品のバリエーションを増やし続けています。例えば、食べられる化粧品や野菜の染料で染め上げるベジタブル衣料、「おやさいクレヨン」なども、廃棄予定だった農産物が形になったものです。規格外野菜があることを前提としたこれらの商品開発により、アイテムとしての付加価値やお金では換えられない物語を享受し合えます。私たちが今&将来的にトライできること②
規格外野菜のブランディング事業を応援する
規格外野菜は長らく農産物の影として、あまりに膨大な量の廃棄がなされてきました。しかしながら規格とは効率上のレッテルであり、単に見方を変えるだけで輝き始める“その先”があります。以下の2社は、規格外ビジネスにおけるモデルの展開例です。- 「らでっしゅぼーや」公式HP(https://www.radishbo-ya.co.jp/shop/)
- 「タベモノガタリ株式会社」Webサイト(https://www.borderless-japan.com/social-business/tabemonogatari/)