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新規就農者は何を作ればいい?〜我が家が白ネギを選んだ理由〜

我が家は10年前に非農家から新規就農し、白ネギをメインに栽培している露地野菜農家です。これから就農を考えていらっしゃる方は、どんな作物を作ったらよいか、いろいろと迷ってしまいますよね? 実は、何を基幹作物にするかはとても重要なんです。それによって、労働時間や収入の目安、初期投資額、住む場所などの農家としてのライフスタイル全般が決まってくるからです。今回の記事では、我が家がどういう経緯で基幹作物を決めたのか、なぜ白ネギを選んだのか、新規就農者はどういった点に注意して栽培品目を選べばよいか、などについてご紹介したいと思います。

目次

基幹作物を決めるためにわたしたちがやったこと

わたしが農業に興味を持ち始めてからやったのは、次のようなことです。

  1. 家の周囲の農家さんの観察
  2. 県の農林事務所に相談
  3. ネギ農家さんのブログをみる

夫の仕事の都合で引っ越してきた現在の住まいは、隣のお宅がたまたまネギ農家さんで、毎年冬になるとネギの皮剥きをする機械の音が聞こえてきていたのが、最初に白ネギに興味をもったきっかけです。そして、ネギが気になり始めると、家の周辺だけでなく市内のあちこちでネギ畑が目につくようになり、ここが白ネギの一大産地であることに気づきました。

それから数年が経ち、だんだんと農業に気持ちが傾き、いよいよ本当にネギを作ってみようか、となりました。しかし、ここは一旦落ち着いて、本当に白ネギを選んでよいのか、他にどんな選択肢があるのか、などを確認するために県の農林事務所へ就農相談に行きました。ここで白ネギ栽培をめぐる県内情勢を知り、やはりネギで就農しよう、となります。

そして、次にインターネットでネギ農家さんの情報を集めました。ブログや動画は実際の作業の様子や農家のリアルな暮らしぶりを知ることができるので、就農後のイメージを膨らませるのに非常に参考になりました。

ネギを選んだ際に決め手となったポイント

最終的にネギを選んだのには、以下に挙げるような具体的な理由もちゃんとあります。

地域の特産品であること

新規就農者は周りの人が作っていない、珍しい野菜を作りたがることがあります。それはそれでやりがいや面白さがあってよいと思うのですが、地域みんなが作っている特産品を作ることには次のようなメリットがあります。

  • 地域の風土にあった作物である
  • 栽培方法が確立されている
  • 既に販路がある
  • ブランド化されているので少し高く売れる

特産品であれば多くの農家が栽培しているので、生産者の組合があります。わたしもJAの白ネギ部会に入りました。組合に加入すると、栽培技術を指導してもらえます。また、売り先についても心配しなくてよいので、生産に専念でき、新規就農者には向いている環境で農業をスタートできるというわけです。

初期投資が抑えられる

イチゴやトマトなどの施設栽培は、軌道にのればかなりの売上が見込めますが、ハウス建設費用などの投資額も大きいため、リスクを伴います。うちの地域は台風が多いので、ハウスが被害を受けてしまうことも大いにありえます。露地野菜でも台風被害はもちろんありますが、ハウスが潰れて借金だけが残ってしまう、という最悪の事態を想定すると、やはり施設栽培は怖くて選択できませんでした。白ネギ栽培の農業機械は、中古品を探したり補助金を活用しながら揃え、初期投資はなるべく抑えることができました。

時給が比較的高い

相談に行った県の農林事務所では、「原単位」という概念を教えてもらいました。原単位とは、ひとつの作物を10a栽培するときに、どれだけ経費や労働時間がかかり、どれだけの利益が出ますよ、という目安です。これで品目毎の農家の時給が、おおよそわかります。

ちなみに、相談に行った当時のうちの地域の白ネギの原単位は、

  • 年間労働時間 100時間
  • 売上 100万円
  • 期待所得 30万円

で、これを時給換算すると、3000円/時間となります。

実は、県に相談に行って最初にすすめられたのはイチゴでした。しかし、イチゴ栽培はハウス+水耕栽培設備の組み合わせで、初期投資額は2000万円かかります、でも融資はできます、とのことでした。ちょっと腰がひけてしまう金額です。参考までにイチゴの原単位も聞いてみると、

  • 年間労働時間 1500時間
  • 売上 400万円
  • 期待所得 160万円

これを時給計算すると、1066円/時間。ということは、ネギのほうが時給が3倍近く高いということになります。イチゴは少ない面積でも売上がとても高くなるのですが、労働時間を見落とすと大変なことになりますね。

実際この通りの時給になるわけではありませんが、目安にはなると思いますので、興味をもった作物の原単位を調べておくのはよいと思います。

栽培管理がしやすそう

どんな品目を選んでもそれなりの苦労はありますが、わたしが農家の中で一番大変そうだと感じるのは、酪農家や養鶏農家です。生き物が相手なので休みがなく、当然旅行などにも行けません。また、一瞬の収穫時期を逃せないような葉物や果実類なども、収穫期は時間に追われそうで大変そうに感じます。その点、ネギは仕上がってから一定期間畑に置いておけるので、自分の都合で収穫できるところが気に入っています。また、栽培期間中も必ず毎日しないといけない作業というのはなく、ポイントを絞った管理をしています。

出荷の自由度が高い

我が家の白ネギは、ほぼ地元JAに持ち込んで販売してもらっています。白ネギのシーズン中はほぼ毎日集荷があり、集荷時間内であれば、好きなときに好きな量を出荷でき、とても気楽です。もし出荷の数量や期日が事前に決められていたら、雨が続く時期や、体調の悪いときも収穫・出荷作業をしなければいけません。また、出荷者が少なければ荷受けや検品をしてくれる日も限られてくるので、そこを狙って出荷しなければいけなくなります。しかし、地域で生産者が多い品目を選べば、より多くのサービスが受けられるというわけです。

基幹作物にもう1品目組み合わせるなら?

白ネギ農家としてスタートしたわたしたちですが、ネギは基本的には寒い時期の作物なので、一年中収穫できるわけではありません。そこで、農閑期に収穫できるものを何かもう1つ追加することにしました。その際に考慮したのは、「原産地の違う作物を組み合わせる」ということ。冷涼で乾燥した気候を好むネギとは真逆の、温暖湿潤な気候を好む海老芋(里芋の一種)を選びました。そうすれば、冷夏の年はネギがよく育ち、反対に猛暑や豪雨がある年は、ネギは生育が悪くても海老芋がよく育つので、リスクヘッジになるというわけです。海老芋は白ネギと同じく地域の特産品であることや、栽培に使用する機械がネギのものと共用できるので、初期投資がほとんどかからないことも決め手となりました。この組み合わせは地域の多くの方が既に実践されていることから、昔から受け継がれている方法は理にかなったものなのだ、と感じます。

まとめ

今回の記事では、就農するときにはこういう考え方もあるんだ、ということを知っていただくために、我が家の例をご紹介しました。農家になるということは個人事業主になる、ということなので、基本的には自分の好きな作物を好きなだけ作ればよいのですが、原単位や販路などの情報を事前に集めて営農計画を立てると、就農がより現実的になります。これから就農を考えていらっしゃるみなさんに、少しでも参考にしていただければ幸いです。

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