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捨てちゃうなんてもったいない! 野菜・果物の皮の栄養学(果物編)

果物の皮には栄養が豊富

果物はビタミンが豊富で、美容や健康のためにも積極的にとりたい食べ物です。そんな体にうれしい成分は、皮の部分により多く含まれています。いつもは皮をむいて食べる果物も、皮ごと食べればより効果的に栄養をとることが期待できます。

皮ごと食べたい果物

①リンゴ

皮ごと食べたい果物の代表はリンゴです。「1日1個のリンゴは医者いらず」といわれるほど健康効果で知られる果物です。リンゴには体にうれしい栄養素が豊富。とくに皮の部分に栄養素が多く含まれています。

リンゴの皮には100種類以上のポリフェノールがを含まれ、総称「リンゴポリフェノール」と呼ばれています。さらにリンゴにはビタミンCも豊富で、リンゴポリフェノールとビタミンCを組み合わせることで高い抗酸化作用が期待できます。この抗酸化作用が生活習慣病のリスクを抑え、美しい肌を保つためにも効果的であるといわれます。抗酸化作用を高めるためにも、リンゴは皮ごと食べることをおすすめします。
また、腸内環境を整えたいならリンゴは皮をむかずに食べる。なぜなら皮の部分には実の約4倍もの食物繊維が含まれるといわれ、加えてペクチンも豊富なリンゴを皮ごと食べることで腸内環境を整えることにつながるからです。

水溶性食物繊維であるペクチンは、皮と実の間に多く存在することがわかっています。ジャムの増粘剤としても使われるペクチンはコレステロール排出、デトックス効果などがあるといわれ、消化吸収を助け、胃粘膜を守る働きがあるといわれます。

リンゴに含まれるクエン酸とリンゴ酸も、健康の維持に欠かせない栄養素です。クエン酸は疲れた身体の回復、血流の改善、新陳代謝を促進する働きがあるといわれます。またリンゴ酸には体内に溜まった老廃物を積極的に排出する役割が期待されます。

ただし、皮の食物繊維は食べすぎると消化不良につながる場合があるため、胃の働きの弱い人は食べ過ぎに注意してください。

皮に残る農薬が心配

リンゴの皮の表面がテカテカと光り、触るとベトベトしていることを心配される方がいらっしゃるかもしれません。これは農薬によるものではありません。このツヤの正体は、リンゴが乾燥から身を守るために自ら分泌する天然の脂肪酸です。リンゴの実が熟して食べごろであるサインでもあり、健康的なリンゴの証しでもあります。

日本産のリンゴであれば、収穫後にワックスや農薬を使用することはありませんが、輸入リンゴは少々注意が必要です。

農薬を使わずにおいしいリンゴをつくるのは、簡単なことではありません。野菜編URL入れる)でもふれていますが、どうしても気になる場合は、水で洗う、塩や重曹水につけてこすり洗いをする、短時間(15秒程度)熱湯につけるなどの方法があります。長時間水につけると栄養成分が失われる可能性があるので、洗う時間はなるべく短めに。

②ブドウ

ブドウの皮、とくに赤(デラウェアなど)や黒(巨峰やピオーネなど)の皮をもつものには、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富です。ブドウの栄養素は皮と種に集中しているといわれ、ブドウは皮ごといただくのがおすすめです。

皮の厚い品種は、口の中に皮が残ることがあります。そんなときはブドウを皮つきの状態で冷凍し、シャーベット状にすることで食べやすくなります。最近では皮ごと食べられるブドウの品種が増えているので、お好みのものを探してみてください。

ブドウには、体に吸収されやすいブドウ糖や果糖などの糖質が約15%と高いため、エネルギーとして食べてすぐに利用できるのがメリットです。しかし、糖質などを制限している場合は食べ方や量に注意しましょう。

③キウイ

毛がモシャモシャとはえているキウイを皮ごと食べるのは、抵抗を感じるかもしれません。しかし、キウイの皮は食べられます。皮ごと食べることで摂れる栄養もおどろくほどアップします。

皮ごと食べれば、食物繊維は実の部分だけ食べた場合の約2倍、葉酸、ビタミンEは30%ほど摂取量が増えるといわれます。ポリフェノールも皮の部分に多く含まれているので、キウイは皮ごと食べるのがおすすめです。

ただし、子どもや消化器官の働きが弱い人は皮をむいて食べてください。胃腸の働きが弱っている場合は、消化不良を起こす可能性があります。

食べ方は、キウイの表面を水で洗い流しながら指でこすって表面の毛を取り除きます。うまく取れない場合は、たわしやアルミホイルを丸めたものでこするとよいでしょう。毛を取り除いたら、そのまま食べる、輪切りにする、ミキサーでジュースやスムージーにして飲むなどさまざまに楽しめます。皮つきのまま輪切りにして、ドライフルーツにするのもおすすめです。

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④ミカン

ミカンも皮ごと食べたい果物のひとつです。ミカンの皮には抗酸化物質であるポリフェノールが含まれ、皮ごといただくことでアンチエイジング効果が期待できるでしょう。さらに、ビタミンCとの相乗効果で風邪予防や美肌づくりにも焼きミカン、ジャム、スライスして乾燥させたドライフルーツなど、皮ごとおいしく食べる方法が豊富です。

薄皮や筋にも食物繊維が豊富なので、果実と一緒に食べると便秘の改善につながるといわれます。便通を整えたいなら、薄皮や筋も残さず食べるようにしましょう。

⑤スイカ

スイカの皮は、捨てるにはもったいない栄養素が含まれます。なかでもシトルリンは、ウリ科の植物に多く含まれる夏バテ予防に効果的なアミノ酸の一種です。血流を改善するほか、抗酸化作用も期待できます。

スイカの皮の白い部分は、千切りにしてサラダやあえものに使うほか、炒め物、煮物、漬け物、スープの具としてなど、野菜として幅広く利用できます。

食べてはいけない果物の皮

ほとんどの果物の皮は、食べても健康上の問題はないようです。しかし、体質などによっていくつか注意が必要な点もあります。

ざくろ

ざくろの根、樹皮、果皮に含まれるアルカロイドのペレチエリンという成分には、中毒症状につながる危険性があります。

マンゴー

マンゴーはウルシ科の果物で、マンゴールというアレルギー成分が含まれています。マンゴールはとくに皮の部分に多く含まれ、体質によって触れるとかぶれ(接触性皮膚炎)を起こすことがあります。ウルシにかぶれた経験のある方はとくに注意が必要です。呼吸困難など重篤な症状につながる危険性もあるので、マンゴーの皮の大量摂取は控えてください。

バラ科の果物

モモ、ナシ、サクランボ、ビワ、ウメ、アンズ、スモモ、リンゴなど、バラ科の果物にアレルギー反応を起こす人がいます。これらの果物を口にいれて違和感を覚えるようなら、アレルギーを疑ってみましょう。異常を感じたら、食べることは控えて専門機関に相談してください。

果物を皮ごと食べるおいしいレシピ

フルーツティー

材料(作りやすい分量)

ティーバッグ(紅茶、ハーブティーなど):2袋

リンゴ:約1/2個(薄いイチョウ切り)

みかん:1個(皮ごとスライス)

お好みのフルーツ:適量

お好みのスパイス/ハーブ(シナモン、クローブなど):適量

水:約500mL

ハチミツまたは砂糖など:適量

作り方

1. 鍋に皮つきのリンゴ、ミカン、ティーバッグ、水をいれて火にかける。お好みでスパイスやハーブ、砂糖などを加える。

2. 沸騰したら約15分煮出す。

3. フルーツをザルでこしてカップに注ぐ。

果物を皮ごと食べて元気に美しく

以上、野菜や果物の皮には健康維持に役立つ栄養成分が豊富に含まれ、捨ててしまうのはもったいないことをご理解いただけたでしょうか。皮ごと食べることのメリットを知っていたのか、昔の人は、皮ごと食べる工夫をしてきました。

みなさんもこれまで野菜や果物の皮を捨ててしまっていたのなら、その食べ方を今一度見直してみませんか?皮に含まれる豊富な栄養を無駄にせず、よりヘルシーで環境にやさしい生活を目指しましょう。

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