就農移住先の田舎の人付き合いで心がけること
田舎暮らしに憧れる一方、田舎の近所付き合いって何だか大変そう、というイメージがありませんか?確かに、田舎は都会に比べて人間関係が濃い、というのは事実です。特に、農業をするとなると、自宅周辺のご近所づきあいに加えて、他の農家さんや、役場、JAとも深くかかわることになります。でも、逆にそれが田舎暮らしのよさでもあるのです。
ここでは、これから田舎暮らしを考えている方に、移住先で地域にうまく溶け込み、楽しく暮らすために、心がけるべきことをお伝えします。
◆田舎のご近所づきあい
田舎に引っ越したら、最初はわからないことだらけで不安だと思います。でも、次の3つのことを実施すると、人間関係がきっとうまくいきますよ。
- まずは第一印象をよくする
田舎への移住者は、転入生と同じで、よくも悪くも注目されます。普段は平和で何も事件のない田舎の人たちに、格好の話題を提供するのですから、当然です。
そんな注目を集めている状態で、一番大事なのは、まずは近所の人たちに自分から引っ越しの挨拶に行くことです。田舎の人の立場を自分自身に置き換えてみるとよくわかります。あなたが子供の頃から住んでいる家のすぐ目と鼻の先に、誰か引っ越してきたけど、挨拶もなく、素性もよくわからない。そんな人に目の前でゴソゴソされたら、気味が悪いですよね? 引っ越しが終わったら、遅くとも翌日にはご近所への引っ越しの挨拶を済ませたいところです。ひとつの自治体は、たいていいくつかの組や班に分かれています。自分の所属する班のすべてのお宅に伺っておくのが無難です。
挨拶回りをしていると、お世話好きなその地域のキーマンのような方が、必ずいらっしゃいます。その地域のことについては、あなたは本当に初心者のはずですから、謙虚に何でも教えてもらいたい、という態度で接すれば、相手も喜んでいろいろと教えてくれます。
●自治会活動には積極的に参加する
田舎の人たちは、「自分たちの住んでいる地域は自分たちで守る」という意識が高いものです。特に過疎化が進んでいるようなところでは、国の予算が回らず役場の人手も足りないことから、道路などの保全を自分たちで行っていたり、消防団があったりします。自治会の役が回ってきたり、仕事を依頼されたりしたら、あなたもその地域の一員なのですから、そのときは、やはり快く引き受けたいものですね。
田舎の人は、よそ者には厳しいですが、親しい人にはとことん親切にしてくれることが多いです。ひと通りいろいろな役を経験して、みなさんの顔を覚えた頃には、すっかり住みやすい地域になっていることと思います。
●噂話に過剰に反応しない
移住したてのときは、どうしても近隣の噂話の的になってしまうものです。中には、悪口めいたことを言う人もいます。でも実は、向こうには大して悪気や敵意はありません。仲間内で面白おかしく話をしているときのネタにされているだけなのです。いちいち気にせず、自分のやるべきことを淡々とこなしていれば、そのうち、真面目によく頑張る人、という目で見られるようになってきます。そして、もし、あなたの悪口を言っているような人に道で出会ったら、こちらからすすんで挨拶すると、向こうも気恥ずかしくなって、悪口は言わなくなります。
◆役場の人との付き合い方
新規就農するとき、中でも特に地方移住を伴う就農では、役場との付き合いはほぼ必至です。農業研修先を紹介してもらったり、就農支援の補助金の窓口になっていたり、農地を仲介してもらったりと、お世話になることがとても多いのです。役場の担当職員は、各種政策のルールに精通したプロフェッショナルなので、就農にあたってどんな制度が利用できるのか、という点については大いに相談にのってもらいましょう。ただ、公務員は異動も多く、農業のプロというわけではありません。営農計画の内容や、栽培品目選びなどの具体的なことについては、JAやその他の生産組合などで情報を収集するのがよいでしょう。
◆JAとの付き合い方
新規就農者の中には、就農する前からJAに対して悪いイメージを刷り込まれていて、JA出荷を頑なに拒む方がいらっしゃいます。でも実は、JAのサービスは新規就農者にとってメリットがたくさんあるんです。まず、生産者の部会に入ると、栽培講習会などが受けられたり、先輩農家さんと知り合えたりして、いろいろと勉強になります。肥料・農薬やダンボール箱の出荷資材も、他の農家さんたちとの共同購入になるので、安くなるものがたくさんあります。そして、出荷したものは、JAが各所と販売交渉して全て売りさばき、確実に代金の回収までしてくれます。JAに出荷すると、経費を引かれてあまり利益が出ない、と思い込んでおられる方もいらっしゃいますが、内訳をみると決してそんなことはありません。販売手数料は直売所などに出荷することを思えば、むしろ安いほうなんです。また、作物の栽培以外のわずらわしいことはすべてJAが請け負ってくれるので、生産だけに集中できるところが、新規就農者には向いている出荷形態だと思います。
◆他の農家さんとの付き合い方
新規就農者の中には、就農する前からJAに対して悪いイメージを刷り込まれていて、JA出荷を頑なに拒む方がいらっしゃいます。でも実は、JAのサービスは新規就農者にとってメリットがたくさんあるんです。まず、生産者の部会に入ると、栽培講習会などが受けられたり、先輩農家さんと知り合えたりして、いろいろと勉強になります。肥料・農薬やダンボール箱の出荷資材も、他の農家さんたちとの共同購入になるので、安くなるものがたくさんあります。そして、出荷したものは、JAが各所と販売交渉して全て売りさばき、確実に代金の回収までしてくれます。JAに出荷すると、経費を引かれてあまり利益が出ない、と思い込んでおられる方もいらっしゃいますが、内訳をみると決してそんなことはありません。販売手数料は直売所などに出荷することを思えば、むしろ安いほうなんです。また、作物の栽培以外のわずらわしいことはすべてJAが請け負ってくれるので、生産だけに集中できるところが、新規就農者には向いている出荷形態だと思います。
◆他の農家さんとの付き合い方
就農すると、他の農家さんたちとの付き合いも始まります。積極的に関わらないこともできますが、せっかくなら同業者同士、有意義な情報交換をしたいものです。
- 先輩農家さんとの付き合い方
基本的には、「何でも素直に教えてもらおう」という姿勢で接すれば、可愛がってもらえます。家族経営の農家さんは、みんなそれぞれが個人事業主なので、営農の考え方や、作物の栽培に関するこだわりも人それぞれ。だから、あの人はこう言っていたけど、この人はまったく違うことを言っているな、ということもよくあります。だから、どの人の話もとりあえず聞くだけ聞いておいて、「良いな」と思ったところは取り入れればよいと思います。また、農業界には、どぶ掃除さらいの時期や草刈りのタイミング、共同の用水の使い方などで、明文化されていない暗黙の地域ルールがたくさんあります。でも、普段から周りの農家さんがやっていることをよく見て真似しておけば、心配いりません。直接教わらなくても、「見て盗む」だけでじゅうぶん勉強になります。
- 先輩農家さんとの付き合い方
自分と近い境遇の人が身近にいると、心強いですね。しかし、新規就農者とばかり付き合うのは、あまりおすすめできません。海外留学でよく日本人同士が固まってしまうのと同じで、同じレベルの人とずっと行動を共にしても、なかなか成長できません。情報交換という名目でしょっちゅう開催される新規就農者の飲み会は、愚痴の言い合いばかりになってしまっていることも。もちろん新規就農者の中にも、バリバリやっていてすごいな、と思う人もいらっしゃると思います。なので、普段は遠くから眺めて、たまに近況報告をし合うと、お互い刺激を受けて切磋琢磨できるよい関係が続くかもしれませんね。
◆まとめ
ここまで、田舎のご近所さんやJA、役場、他の農家さんたちの特徴と、その接し方についてまとめてみましたが、どんな印象を持たれましたか?「田舎はやっぱり大変そう」、と思われたかもしれませんが、実は、大変に思うのは最初だけで、1~2年も経てば、さみしいことに誰も注目してくれなくなります。ですから、最初だけは自分から歩み寄って、よい関係を築いておくと、その後の田舎暮らしが楽しくなりますよ。