はぜ掛け(はざ掛け・稲木掛け)のやり方|動画でわかりやすく解説
稲刈りシーズンに入り、はぜかけ風景をそこら中で見かけるようになりました。
はぜかけ作業中の農家さんの近くには、もちろん農機具があります。
また、はぜかけしていた稲を回収している農家さんの近くにも、もちろん農機具があります。
この記事では、そんな「はぜかけ」に関係する農機具を農機具屋目線で紹介します!
はぜかけの手順
まず、バインダーで稲を刈ります。
刈り取り後、稲を掛ける「はぜ」を作ります。(いわゆる「はぜ作り」)なお、はぜは木の棒で作られていることが多いです。(最近はアルミパイプで干している田んぼも見かけるようになってきました)
はぜを作ったら、稲をはぜ棒に2段になるように掛けていきます。(逆さ吊りです)
このまま約2週間、稲を逆さ吊りで乾燥させることで稲が美味しくなるとかならないとか。
美味しくなる理由は、逆さまに吊すことで稲の茎部分の栄養がお米に溜まるとか、日光でアミノ酸が増えるとか、ゆっくり乾燥するのが良いとか、諸説入り乱れています。(結論、よく分かっていない)
ただし、先人達の知恵であり、脈々と受け継がれているということですから、きっと本当に美味しくなる理由が隠れているのでしょう…(後世の農科学者に期待)
閑話休題。
乾燥させた稲はハーベスターで脱穀します。(脱穀とは、刈り取った稲から藁を取り除いて籾にすることです)
はぜかけに関わる農機具は主に2種類
さて、はぜかけ手順の中に、農機具が2種類登場しました。
バインダーとハーベスターです。
ここからは、バインダーとハーベスター、おまけでコンバインについて解説します。
バインダーとは|はぜかけ前に稲を収穫(刈り取り)する農機具
バインダーとは、はぜかけ前に稲を収穫(刈り取り)する農機具です。
刈取った稲を結ぶ(bindする)からバインダー(binder)です。
バインダーは「引き起こし部(デバイダー)」で引き起こした稲を「刈り取り部」で刈った後、「結束部」を結びます。
1度に刈り取れる量は1条または2条が一般的で、走行方法はタイヤです。
バインダー使用時の最大の注意点は結束ひも
バインダーは稲を結束する際、ひもを使います。
この紐はホームセンターでも買えますが、純正のひもを使わないとバインダーの調子が悪くなることもしばしば。
なるべく純正の紐を使いましょう。
バインダーは新品?中古?
バインダーを買い換える際は、新品か中古かで悩むかもしれません。
結論から言うと、稲作を続ける期間によって決断することがオススメです。
例えば、後継者がおらず、あと2~3年で稲作を止めようかと思っているなら、中古で十分。
一方、後継者もいて、10年以上は稲作を続けていくなら、新品のバインダーを買っても良いでしょう。
ハーベスターとは|はぜかけ後に脱穀する農機具
ハーベスターは、はぜかけ後に脱穀する農機具。
脱穀してお米を収穫する(harvestする)から、ハーベスター(harvester)です。
ハーベスターは、いわゆる「千歯扱き(せんばこき)」を機械化したものです。
ハーベスターで脱穀した籾は、籾すり⇒選別⇒精米と稲がお米になるフローを辿っていきます。
ハーベスターを使い終わったら必ずお手入れ
ハーベスターを使い終わったら、籾の残りは除去しましょう。
籾が残っていると、ネズミなどの害獣を呼び寄せ、機械内がフンだらけになってしまうことも。。
ハーベスターは新品?中古?
ハーベスターを買い換える際も、新品か中古かで悩むかもしれません。
ハーベスターもバインダー同様、稲作を続ける期間によって新品 or 中古の決断することがオススメです。
あと2~3年で稲作を止めようかと思っているなら中古、10年以上は稲作を続けていくなら新品で良いでしょう。
【おまけ】コンバインは?|バインダーとハーベスターが合体(combine)した農機具
さて、稲の収穫というと「コンバイン」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
コンバインは、一台で刈取・脱穀・選別ができるスーパー農機具。
バインダーとハーベスターが合体(combine)した収穫機械です。
コンバインは刈り取り後、そのまま脱穀過程へと進みます。そのため、稲の収穫は効率化されますが、はぜかけはできません。
はぜかけは労力を使うので、大規模な稲作農家さんはほとんどコンバインで収穫しています。
コンバインは新品?中古?
コンバインを買う時も、新品と中古で悩むかもしれません。
もちろん、長く稲作を続けるなら新品、近々離農する予定なら中古でも良いでしょう。
ただし、コンバインは構造が複雑な農機具。
近くに信頼できる農機具屋さんがいない場合は、不具合が生じる可能性が高い中古より、安心して使える新品の方が良いかもしれません。
はぜかけが終わったら農機具のお手入れを
ここまで「はぜかけ」に関わる農機具について解説してきました。
はぜかけ前の刈り取りには「バインダー」を、はぜかけ後の脱穀には「ハーベスター」を使います。
そして、バインダーとハーベスターが合体したスーパースターが「コンバイン」です。
いずれにせよ、はぜかけが終われば農閑期。
使った農機具は、来シーズンに向けて格納整備をしておきましょう。