肥料の種類一覧を農機具屋が解説!三要素・成分・時期について教えます
農機具販売サイト「ノウキナビ」の谷口です。
当社は農機具屋ですが、動噴や肥料散布機と合わせて肥料も販売しています。
3月~4月は農繁期の始まりであるとともに、肥料が必要になる時期。そこで今回は、肥料の種類について徹底解説します。
肥料は全部で200種類
まず最初に、肥料は何種類くらいあるのか調べてみました。すると農林水産省の「こどもそうだん」ページにぴったりな情報が。(私は「こどもそうだん」シリーズが好きで、度々読んでいます。。)
肥料はすべて、成分(せいぶん)が確(たし)かなもので登録(とうろく)や検査(けんさ)を受(う)けたものしか販売(はんばい)することができないようにした法律(ほうりつ)「肥料取締法(ひりょうとりしまりほう)」があります。
農林水産省|こどもそうだん>農業>肥料(ひりょう)の種類(しゅるい)は、何種類ぐらいあるのですか。
おもな肥料の種類は約200種類あります。
なんと、肥料は200種類もあるみたいです。
「肥料取締法」によって日本の肥料はしっかり管理されています。
なお、ノウキナビは先日、本社を移転しました。
本社移転に伴い、私も「肥料の品質の確保等に関する法律」に基づき移転手続きをしましたが、これが意外と大変な手続き、、、。
ただ、肥料は使い方を誤れば有害になることもあるので、肥料を扱う身として気を引き締めたいところです。
肥料を成分で分類すると2系統に分けられる
さて、おもな肥料は200種類あるということですが、肥料の成分で分類すると2系統に分けられます。
- 化学肥料
- 有機質肥料
化学肥料
まず1つ目が化学肥料です。化学肥料はその名の通り化学的に製造された肥料で、主に次の6系統に分かれます。
窒素質肥料→尿素、硫安、塩安、石灰窒素
りん酸質肥料→過りん酸石灰、よう成りん肥
加里質肥料→塩化加里、硫酸加里
複合肥料→高度化成肥料、普通化成肥料、配合肥料
石灰質肥料→消石灰、炭酸カルシウム肥料
その他肥料→ケイ酸質肥料、苦土肥料
一般的に利用することが多い窒素やリン、カリウム(カリ・加里)、石灰などは化学肥料に分類されています。
有機質肥料
2つ目の系統は有機質肥料です。有機質肥料は動植物性の有機物が原料で、主に次の3系統に分かれます。
堆肥→牛ふん堆肥、豚ふん堆肥、鶏ふん堆肥
動植物質肥料→魚粕粉末、菜種油粕、骨粉
有機副産物肥料→汚泥肥料
私は田舎の小学校に通っていたので、校内に「牛糞堆肥の山」がありました。(授業でジャガイモやトウモロコシ、大根を育てるときに使っていた記憶…)
有機質肥料なので、子どもの近くに置いてあっても安心ということなのでしょうね。(牛糞の山で遊んでいた、記憶…笑)
肥料の三要素とは
なぜ肥料を与える必要があるかというと、植物(農作物)の成長を促すため、ですね。
植物が育つためには窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、酸素(O)、水素(H)、炭素(C),マグネシウム(Mg)、硫黄(S)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)の17元素が必要と言われています。※1
※1参考:植物の必須栄養素から考える植物オートファジーの重要性|公益社団法人日本生化学会
多いですね。
これらの植物の生育に不可欠な元素群は、一般に「必須元素」と呼ばれています。
必須元素の中の酸素(O)、水素(H)、炭素(C)は水と空気から得られます。光合成の分子式 「6 H2O + 6 CO2 →(光)→ 6 O2 + C6H12O6」に出てくる元素です。
(ちなみに光合成とは、葉緑体が光エネルギーを使って「小さな電池」になることでエネルギーを生み出しています。今回は肥料の話なのでこれ以上は割愛!)
さて、必須元素17種類のうち、光合成から得られない残りの14種類は外部、すなわち土壌や肥料から得る必要があります。
そして、14種類の元素の中で、特に植物にとって重要なのが窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)です。
窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)を合わせて肥料の三要素と呼びます。
窒素(N)
窒素は植物の生長に必要な元素です。そのため「葉肥え」と表現されることもあります。
窒素が不足すると、生育不良となり、葉っぱが薄くなったり黄色くなったりします。
反対に窒素が多すぎると葉っぱや茎が柔らかくなり、病害虫にやられやすくなります。
リン(P)
リンは花や実に影響する元素です。そのため「実肥」「花肥」と表現されることもあります。
リンが不足すると、花が咲かなかったり、果実が実らなかったりします。リンはエネルギー代謝に必要な元素なので、不足すると一大事です。(人間ふくめた生物の代謝・エネルギーには「アデノシン三リン酸 / ATP」が使われる、という遠い記憶がよみがえります)
カリウム(K)
カリウム(K)(肥料の三要素では「カリ」と呼ばれることの方が多いです)は、根っこを丈夫にする元素です。そのため「根肥」と表現されることもあります。
カリウムが不足すると、植物の免疫力が下がり、外部環境や病害虫にやられやすくなります。
肥料袋の成分表(N:P:K)の見方
肥料の袋や箱には「N:P:K=10:10:10」などの表記があります。
これは、その肥料にN(窒素):P(リン):K(カリウム)が何%含有されているかを表す重量パーセントです。
たとえば「N:P:K=10:10:10」であれば、N(窒素):P(リン):K(カリウム)がそれぞれ10%ずつ含まれています。
肥料全体が100gで、「N:P:K=10:10:10」の表記があれば、N(窒素):P(リン):K(カリウム)はそれぞれ10gということです。
肥料は必要?
「自然界では肥料がなくても植物が育つのに、野菜には肥料が本当に必要なの?」と思う方がいるかもしれません。
結論から言うと、農作物には肥料が不可欠です。
というのも、人間が管理している農地には、自然界に存在している有機物(動物の排泄物や死骸・枯れた植物など)が圧倒的に不足しているからです。
これらの不足している栄養素を肥料で補わないと、農地で植物は育ちません。
肥料を与える時期
農作物によって量や与える時期は異なりますが、肥料は農作物の生育期(成長期や開花期など)に与えます。
農作物を植える時の「元肥」、生育状況に合わせて与える「追肥」、開花後や収穫後に与える「お礼肥」など、肥料を与えるタイミングによって名前が付いているほど、肥料を与える時期は様々です。
育てる作物に合わせて、肥料を与える時期を確認してみてください。
肥料はネット通販でも買える
ノウキナビでも各種肥料を取り扱っています。
また、肥料散布機も小型~大型までラインナップしており、3月以降は多くの注文をいただいています。
肥料・肥料散布機もネットで買った方が便利なので、ぜひ1度お店をのぞいてみてください。
ちなみに、ノウキナビでは背負式散布機はもちろん、トラクター用肥料散布機もネットで買えます。大型農機具の配送もお任せください。