TPPで日本の農業が変わる!? TPPがわたしたちに与える影響とは
今回は日本の農業に大きな影響がある「TPP」について取り上げます。ニュースや情報番組でもよく耳にする言葉だと思います。TPPに関する動きは、わたしたちの生活に密接に関わる重要な問題です。この記事では、TPPの概要から日本の農業にどんな影響をもたらすのかについて解説します。
TPPとは?
「TPP」は「Trans Pacific Partnership」という言葉の頭文字を取った言葉で、「環太平洋パートナーシップ」とも呼ばれます。アジア太平洋地域において、貿易品における関税の削減・撤廃、サービスや投資の自由化を進め、幅広い分野で新しいルールを定め、自由で公正な巨大市場をつくり出していくための経済連携協定です。ここからは、具体的な内容について迫っていきます。
TPP協定の沿革
TPPは元々、太平洋を囲む国々のうち、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、日本、アメリカ、カナダ、メキシコ、ペルー、オーストラリア、マレーシア、ベトナムの計12ヶ国の間で、包括的でバランスの取れた協定を目指し、交渉が進められてきました。日本は2013年に交渉に参加し、2017年1月にTPP協定を締結しました。
しかし、同時期にアメリカのトランプ大統領がTPPからの離脱を表明しました。その後、アメリカ以外の11ヶ国で交渉を進め、2018年12月に「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)」という名で発効されました。
参照:早わかりTPP(一問一答集) 内閣官房 TPP政府対策本部
参照:環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉 外務省
参照:TPP(環太平洋パートナーシップ)協定 首相官邸
重要5品目とは
TPP協定のなかで、農産物分野には「重要5品目」と呼ばれるものがあります。「米」「麦」「牛肉・豚肉」「乳製品」「甘味資源作物」の5品目のことを指します。これは、日本が各国と交渉をするなかで、日本国内の農業を保護するために関税の維持や例外措置を求めたものです。ここからは、重要5品目の交渉結果がどのようになったのか、簡単に述べていきます。
①米
☆ポイント☆
- WTO枠(WTOで定められている輸入量)は現状維持します。
- 枠外税率(一定の輸入量を超える分にかけられる税)は現状維持し、従来どおり無秩序な輸入を防止します。
- 新たにオーストラリア向けにTPP国別枠を設けます。
- 国別枠の輸入量増加が国内の需給や価格に与える影響を防ぐため、「TPP国別枠」と同量の国産米を政府が備蓄米として買い入れます。
②麦
麦には小麦や大麦が含まれます。
☆ポイント☆
- WTO枠は現状維持します。
- 枠外税率は現状維持し、従来どおり無秩序な輸入を防止します。
- 新たにオーストラリアとカナダ向けにTPP国別枠を設けます。
- WTO枠及びTPP国別枠のマークアップ(国内農家の支援に充てる経費などとして、輸入価格に上乗せするもの)については、発効から9年目までに現在の関税から45%段階的に削減されます。
③牛肉・豚肉
☆ポイント☆
- 牛肉については、現在の38.5%の関税を段階的に引き下げ、発効から16年目に9%とします。
- 豚肉は、価格の安い肉にかけている最大482円/kgの関税を段階的に引き下げ、発効から10年目に50円にします。
④乳製品
☆ポイント☆
- バターと脱脂粉乳については、関税の削減・撤廃は行わず、WTO枠の現状維持及びTPP枠を設けます。
- 「モッツァレラチーズ」「カマンベールチーズ」「プロセスチーズ」は従来の関税を維持します。
- 「チェダーチーズ」「ゴーダチーズ」などの熟成品や「クリームチーズ」は16年目までに関税を撤廃します。
⑤甘味資源作物
甘味資源作物には砂糖やデンプンが当てはまります。
☆ポイント☆
- 粗糖や精製糖は、一部糖を除き現行制度を維持します。
- チョコレート菓子などの加糖調製品は、品目ごとにTPP枠を設け、関税の撤廃及び削減を実施します。
参照:早わかりTPP(一問一答集)2017年6月 内閣官房TPP政府対策本部
参照:TPPに関する疑問にお答えします 平成28年6月 農林水産省
参照:NHK NEWS WEB 今さら聞けないTPP
参照:TPPにおける重要5品目等の交渉結果
日本の農業にどう影響する?
ここまでは、TPPの沿革や重要5品目の交渉結果について解説してきました。さて、これらの交渉結果は、農業や消費者にどのような影響を及ぼすのでしょうか?ここからは、TPPの内容が日本の農業にどのような影響があるのか、解説していきます。
TPPのメリット
ここでは、TPPによるメリットについて述べていきます。TPPによって関税が削減・撤廃されることによって、以下のようなメリットが考えられます。
- 農家は農産物を海外向けに輸出しやすくなる。
- 消費者は輸入された農産物を安く買い求めることができる。
- 輸出が拡大し日本の経済成長に繋がる。
TPPのデメリット
ここでは、TPPによるデメリットについて述べていきます。TPPによって関税が削減・撤廃されることによって、以下のようなデメリットが考えられます。
- 輸入された安い海外品と競合するために価格を下げることで、農家さんは所得が減る可能性がある。
- 消費者は農産物の安全面に不安を感じる。
- 市場の物価が下がることにより、デフレになる可能性がある。
国としての対策は?
TPPに対して様々な課題が叫ばれるなか、国は以下のような取り組みをするとしています。
- 食の安全性を保つため、TPP以前と同じ制度の元で検査や規制を実施する。
- 生産額の減少を見込み、生産コストの低減や経営安定政策を実施し、農家の所得が確保されるような対策をとる。
- 優良農地を確保し、農業の担い手の育成を促進させる。
- ロボットやAI、IoTを駆使したスマート農業を推し進める。
参照:早わかりTPP(一問一答集)2017年6月 内閣官房TPP政府対策本部
参照:TPPに関する疑問にお答えします 平成28年6月 農林水産省
参照:総合的なTPP等関連政策大綱に基づく農林水産分野の対策 令和2年2月 農林水産省
TPPまとめ
これまで述べてきたように、TPPの発効によって日本の経済状況は今後さらに変わっていくのではないかと予想されています。日本の農業は、大規模農家は少なく中小規模や家族経営の農家が非常に多いのが特徴です。担い手の減少や高齢化が進み、市場での競争力の強化が難しい場合があったり、海外に輸出できるほどの生産ができないことも多いのが実情です。また、市場の物価が下がることが予想され、デフレに転じる恐れもあります。国は、TPPに対する農家や消費者の不安に対して、切れ目なく必要な対策を実施し、情報の開示をしていく必要がありそうです。
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