野菜が病気になっちゃった!プランター栽培で注意すべき病害虫と対処法
家庭で気軽に野菜を育てられるプランター栽培。夏野菜の収穫に向けて、種まきや苗植えを行ったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、昨シーズン私自身も頭を悩ませた、プランター栽培でよくある病気や害虫被害の種類とその対処法について、実体験を交えながらご紹介します。
はじめに
プランター栽培は、ベランダや庭のちょっとしたスペースで気軽に野菜を育てることができるので、私も数年前から細々と行っていました。必要な種や苗、土などはホームセンターに揃っていますし、一部の道具は100円均一ショップやスーパーでも購入でき、趣味としても始めやすいですよね。実際、私の周囲でも家庭菜園家が増えてきているように感じています。
さて、昨年は新型コロナウイルスの影響もあり、家庭内で過ごす時間が多くなりました。そこで我が家では例年よりも野菜の種類を増やして栽培を行うことに。それまで栽培していたのはプチトマトやハーブだけでしたが、昨年はこれに加えてキュウリやナス、トウモロコシにもチャレンジしました。プチトマトとハーブはよく成長し収穫高も上々だったのですが、新たに挑戦したキュウリ、ナス、トウモロコシは散々な結果に…。特にキュウリは、明らかに病気の状態でした。
次章からは、キュウリ、ナス、トウモロコシのそれぞれに着目して、野菜の種類ごとに気をつけるべき病害虫と対処法をお伝えしていきます。
キュウリに白い粉!密植が原因でうどん粉病に
5月に大型のプランターへと苗植えしたキュウリは、2週間ほどすると苗がしっかり定着し、30㎝ほどまで成長しました。つるが伸び始めたため支柱を立て、追肥もバッチリ。あとは2週間ほどで収穫を待つばかり…と考えていたところ、問題が発生しました。キュウリの葉に白っぽい粉のようなものが付き始めたのです。
うどん粉病とは?
白い粉のようなものが葉や茎についてしまう、この病気は「うどん粉病」。カビの仲間である糸状菌が原因の病気で、土や落ち葉に付いている目に見えない小さな糸状菌が風で舞い上がり、植物へと感染してしまいます。我が家のケースでの考えられる発症の原因は、密植です。大きめのプランターで2つのキュウリを栽培していましたが、苗同士の間隔が狭かったことと、つるを真っ直ぐ上へ誘導できなかったことで、風通しが悪くカビの仲間である糸状菌が繁殖しやすい環境が出来上がってしまったのです。
うどん粉病への対処法
うどん粉病の症状が見られる時は、初期症状であれば、感染している葉を摘み取ります。それでも病気が広がってしまうようであれば、専用の薬剤を使用します。私もこの2つの方法を実践しました。症状は改善しましたが、葉を摘み取りすぎてしまったために、成長しづらくなり、小ぶりの実しか収穫できませんでした。
このほか、うどん粉病の対処には、お酢や重曹をつかった消毒方法もあります。お酢はおよそ20倍に希釈してスプレーします。重曹であれば、水と重曹を1000:1ほどの割合で溶かしてキュウリに吹きかけます。お酢も重曹も人体への影響は無害と言われていますので、薬剤を使うことに抵抗がある人にはオススメです。
うどん粉病の予防
うどん粉病の主な予防法は、3つ。1つは、苗植えの際に苗同士の間隔をしっかり開けて植えること。そして、2つ目はつるを支柱へしっかり巻きつけ、上へ伸びるよう誘導します。葉やつるが重ならないようにして風の通り道を確保するようにしましょう。最後のポイントは、水やりです。土の表面が乾燥すると、カビ菌が舞い上がりやすくなってしまうため、こまめな水やりが大切です。
キュウリがなりやすい病気
ちなみに、キュウリはうどん粉病以外にも、黄色い斑点ができる「ベト病」や、枯れたように褐色の病斑が出る「疫病」なども発症しやすいので、注意してくださいね。いずれの病気も、水はけと風通しを良くすることで予防できます。
ナスにアブラムシ!退治するには…
ナスもキュウリ同様、5月に苗植えを実施。こちらも大型プランターに2つの苗を植えました。水やりや追肥をしている中でまず気になったのが、テントウムシの幼虫。テントウムシの中には草を食べる種類がいて、それらは野菜にとって大敵であるため駆除したのですが、それが後悔の元に…。テントウムシの姿が消えると増えだしたのが、アブラムシです。アブラムシは群生して野菜の汁を吸います。野菜自体も元気がなくなってしまいますし、アブラムシの排出物などで病気が発生してしまうおそれもあります。
アブラムシへの対処法
アブラムシの天敵はテントウムシ。ナナホシテントウやナミテントウは、野菜に害はなくアブラムシを食べてくれるため、駆除しないのがポイントです。一方、注意すべきはニジュウボシテントウ。こちらは草食で、野菜の葉を食べてしまいます。特にナス科の野菜を好むとも言われています。一概にテントウムシと言っても、野菜栽培への影響は種類によって異なり、見極めが必要です。
アブラムシを見つけた時には、ガムテープなどでアブラムシを取り除きます。新芽の生え際や葉などに群生していることが多く、粘着面を軽く植物に当てるようにすると一掃できます。
また、ムシが苦手な方に最適なのが、水やりの際に水圧のあるジェットホースを使用する方法です。強くしすぎると野菜を傷つけてしまいますが、適度な水圧を利用すればアブラムシを追い払うことができますよ。それでも駆除できない場合には、殺虫剤を使用してください。
アブラムシの予防
アブラムシは暑さに弱く、ジメジメした環境を好みます。葉が生い茂らないように注意しましょう。マルチや防虫ネットの使用も有効です。
ナスがなりやすい病気
アブラムシの被害以外にも、気をつけたいのが病気です。先述のうどん粉病をはじめ、葉の半分側が黄色く萎れる「半身萎凋病」や、楕円形の大きな病斑が表れる「灰色かび病」などは、ナスがなりやい病気の代表例です。
トウモロコシが枯れる…これも病気だった!
トウモロコシもキュウリやナスと同じく5月に苗植えを行いました。品種はスイートコーンで、大型のプランターに3本を植え、栽培をスタート。追肥を行っていましたが、成長は遅く、背丈が伸びないことが気になっていました。その後、梅雨が明け、本格的な夏に向けて暑さが増してきた頃、トウモロコシの葉が枯れはじめてしまったのです。適度に追肥をしていたため、水やりが原因と考えた私は、水やりの回数を増やしましたが、残念ながら枯れる範囲は広がっていくばかり。ついに収穫には至りませんでした。原因を探るべく調べてみると、症状が酷似していたのは「すす紋病」という病気でした。
すす紋病とは?
すす紋病は、カビの仲間の糸状菌が原因で発生する、トウモロコシによく見られる病気です。葉に紡錘状の模様が現れて次第に広がっていき、葉全体が枯死してしまうことも。すす紋病は、カビの一種であることからも分かるように多湿を好みます。気温がそれほど高くない気候で被害が出やすく、梅雨入り前後には注意が必要です。
実は昨年は、東海、関東甲信越地方では梅雨が長引いていました。6月中旬に梅雨入りしてから梅雨明けしたのは8月1日と、記録的に梅雨明けが遅かった年でもあったのです。梅雨の長雨が、すす紋病にとっては好環境となってしまいました。
すす紋病の予防・対処法
すす紋病は多湿条件で発生しやすく、水はけをよくすることが大切です。また肥料不足も発生要因となるので、適切な追肥も行います。すす紋病の予防法は、主にこの2つ。あとは、病気が発生した土壌は菌が存在している可能性があるため繰り返し使用しないのが得策です。ちなみに、トウモロコシの品種によっては、すす紋病に抵抗性が強いものもあるそうです。
まとめ
今回紹介したうどん粉病、アブラムシ、すす紋病は、いずれも風通しを良くして、こまめに野菜の状態を確認することで対処できます。
皆さんも、プランター栽培でよくある病害虫を知り、元気でおいしい野菜を育ててくださいね!