農業のIT化|「集中と分散」は農業機械業界でも起こるか?
ノウキナビITエンジニアの網掛です。
家庭菜園と縁遠くなっているので春に向けて何かアクションを起こしたいと考えている今日この頃、もう少し農機に触れる機会も欲しいところです。
近年の農機はGPSでルートを設定したり、稼働状況や圃場状態の分析が行えるようになってきています。
気軽に手が出せる価格ではありませんが、とても便利になりました。農機のIT化が進んでいるという事ですね。
私がこれまで関わってきた仕事はとくにIT関係が多いのですが、IT業界の技術的な動向として「集中と分散」を繰り返しているように感じます。
IT化が進んだ先に農機ではどんな変化が起こるか、を少しだけ考えてみたいと思います。
IT業界の「集中と分散」
主観的な感想なので異論・反論はあるかもしれませんが、簡単にIT業界の遷移をまとめます。
【 集中 】例えば20年前、私が就職した金融機関向けのシステムを開発している会社ではまだ「汎用機」が動いていました。ホストと呼ばれる信頼性の高いコンピュータで集中的にプログラムの管理・実行を行っていました。
【 分散 】次に出てきたのはクラ・サバ「クライアント・サーバ」システムです。データ管理のレイヤーと、可視化する機能のレイヤーを切り分けたシステムで、信頼性の高いサーバと、表計算ソフトが導入されたパソコンのような構成になっていました。
【 集中 】その後、インターネット特にWEBの利用が普及し始めるのですが、当時はブラウザの機能が今ほど進んでいなかったため、ほぼ全ての処理をサーバで行った上で結果を静的なコンテンツとして表示していました。
【 分散 】WEBの技術が発達するのと同時にブラウザや利用端末の性能が良くなったことで、CSS、Javascript、HTML5、(Flash…)など端末側で豊かな表現ができるようになりました。
データの保存場所も、
【 集中 】ローカルHDD
⇒ 【 分散 】NFS(ネットワークファイルシステム)、クラウド
⇒ 【 集中 】プライベートクラウド
⇒ 【 分散 】マルチクラウド
と移り変わっています。
技術の進化が起こると、そのの次には深化が起こってきました。
農機業界の「集中と分散」
IT業界は集中と分散を繰り返してきましたが、農機業界はどうでしょうか?
農機を生産している企業で構成される「一般社団法人日本農業機械工業会」(以下、日農工)という団体があります。
日農工が出している統計資料の「生産・出荷台数」を確認すると、国内出荷のトラクターは、年々、馬力数の高いものの出荷が増えていることがわかります。
※赤い線が50馬力以上のトラクター国内出荷数
掲載はしませんが、実は農家一人あたりの耕作地は増加しています。農業人口の高齢化と減少によるところが大きいです。
一人で広く耕作するために大きなトラクターを購入する流れになっているのでは?と推測できます。
このグラフを見るかぎりこれから先も高馬力帯のトラクター出荷数が伸びていきそうですが、どうでしょうか?
わたしは、IT化が進む農機業界にもいずれ分散の波がやってくると思っています。一人で小型、中型の複数の農機をリモートで管理するような世界です。
理由をいくつか挙げてみます。
1.深さより広さ
畑で野菜を作る土、作土層は30cm前後と言われています(根菜はもっと深いこともあります)。
これより深く土をまぜてしまうと野菜の生育に悪い影響が出てきます。養分や土壌内の菌のバランスがその深さの間で保たれているということですね。
ですから、必ずしも深く耕せる必要はなく広く耕せれば良いのです。1台より複数台のほうがはかどります。
2.1台壊れても仕事が止まらない
例えば‘3台の同型の機械があれば、万一1つが故障で動かなくても残りの2台で作業は進められます。
ちょっと進捗は遅れますが、作業中に農機具屋さんに出張で修理してもらえれば、翌日にはまた3台で作業ができるでしょう。
3.小さい機械の方が安い
一般的には同メーカー同シリーズの農機であれば、小さい馬力帯の農機の方が安く購入できます。
海外から輸入する100馬力超えトラクターはブランド力もあって数千万円の価格のものもあります。
新しい技術で開発された商品の売出価格は高額になりがちですが、世界的に小型化・複数化の流れになっていけば規模の経済が効いて生産コストも下がっていくはずです。
見えてないデメリットもあるかもしれませんが、今回は、農機のIT化が進むとITの辿った変遷を農機もたどるはず、との前提で農機の未来を考えてみました。
コロナ禍で首都圏から長野県に転居希望の方、
ご実家が長野でUターン希望のエンジニアの方、
是非、リクルートサイトよりお問合せください。
ご連絡おまちしてます!